前回まではプレーに特化した接待術や考え方などを紹介しました。今回は実際に接待ゴルフを主催する、あるいは受ける側になった時、ゴルフ場でどのような所作が求められるのか、大手広告代理店勤務の接待名人Tさん(57)に聞きました。
「接待ゴルフが仕事の一環である以上、事前準備が成功への第一歩。会場となるゴルフ場へのアクセス方法やもちろん、気を付けなければならなのが、どのような服装でコースに入るかです」とTさん。
2000年代に入りゴルフのカジュアル化が進み、真夏にジャケット着用を義務づけるコースは減りました。ビジネスの延長である限り、あまりにも派手なウエアは好ましくありません。
<大人の社交場ではドレスコードが重要>
「ゴルフショップでは、明るい原色系のポロシャツや、派手なブランドロゴが入ったウエアが数多く販売されていますが、地味な色の着合わせを推奨します。シンプルに黒、濃紺のズボンに無地の白いポロシャツ。秋から冬の間なら、アウターにはグレーや濃紺系のセーター。赤系が好みでも、深めのエンジ色が無難です。スカイブルーやショッキングピンクのズボンはNGです」。

ゴルフ場のHPにはドレスコードの説明がある(袖ヶ浦カンツリーHPより)
いわゆる名門コースと呼ばれるゴルフ場では、来場時とプレー後のレストラン使用時にジャケットの着用を義務付けているので、濃紺、グレー系の落ち着いたジャケットの用意が必要になります。
「接待会場のゴルフ場が、接待する方のホームコース、しかも名門ゴルフ場ならなおさらです。自宅からゴルフウエアを着用し駐車場でゴルフシューズを履き替えてチェックインするのは言語道断。ゴルフ場のスタッフの方々もビジターのお客様には注意しませんが、『基本的なマナーを守れない客』と見られ、ビジネスパートナーであるメンバーさんに迷惑をかけることになります」。
名門ゴルフ場には、ドレスコードの規定がありますが、着合わせの色についての規定はありません。ゴルフ場が大人の社交場である限り、クラブによって着こなしや立ち居振る舞いの暗黙の了解があります。不安に感じるなら、事前にコースに電話して支配人からドレスコードやクラブの雰囲気について説明を受けるのもよいでしょう。
Tさん曰く。「服装は相手に与える第一印象。暗黙の了解を理解できない人、自己主張が強い人と、マイナスイメージを持たれることは得策ではありません。何より、他の人が不快に思わず、清潔感に溢れる身なりが必要です」。
<コース到着は海外出張時の国際線搭乗と同じ時間感覚で>
「これはビジネスの基本ですが、何があってもお客様との約束時間に遅れることは論外。自分の場合、日頃の待ち合わせ時間でも、必ず予定時間の30分前に現場に着くようにしています。ゴルフの場合は自らの着替えの時間、打球練習、レストランでの朝食、お客様の到着時にフロント前でお迎えするなどの流れを考えても、遅くともスタート時間の90分前にはコースに到着する余裕が必要です」。
Tさんのタイムスケジュールを見てみましょう。都内在住のTさんが大事な接待に利用するのが、自らが所属する千葉県北部の名門ゴルフ場。スタート時間が9時なら、コース到着予定は7時30分。さらにコースまでは渋滞を考えなければ45分ほどですが、平日の場合は通勤渋滞を考慮して6時前には自宅を出るようにしています。ゴルフバッグや着替え、名刺のチェックなどの用意は前夜に済ませるため、起床は5時30分。
「6時前に自宅を出れば、少し渋滞しても7時にはコースに到着できる。この精神的余裕が大きい。コースに着いたら、着替えを済ませ、マスター室に挨拶した後に、アプローチとパット練習をします。ほとんどのお客様がスタート1時間前到着を目指していらっしゃるので、8時には練習を切り上げてフロント付近でお客様をお迎えします。大事な接待ラウンドの場合、海外出張で国際線に搭乗するぐらいの時間感覚で臨みましょう」。

時間的余裕は精神的余裕。接待する側が遅れるようでは…
<常に次の人のために>
接待ゴルフでも迷惑をかけないゴルフをするためにはウオーミングアップが大事です。当然、着替えた後に練習場に向かいますが、ここでも注意が必要です。
「打球練習場では、真ん中の打席は使用せず、入り口から奧の端の打席を利用しましょう。名門コースに来たビジターが、堂々と真ん中の打席で練習するのは控えましょう。もちろん、接待する側のメンバーさんが『一緒に練習しましょう』と誘われた場合は別です。上級者のメンバーの後ろの打席を選び、ウエッジを中心に軽いウオーミングアップにとどめましょう。ボールも1箱(だいたい24球)で十分。汗だくになるまでボールを打ち、スタート時間ぎりぎりにティーイングエリアに行くことは厳禁です」。
「練習グリーン上でも、ボールを3つも4つも転がしてカップの回りを塞ぐような行為は他の方々の邪魔になります。練習ボールは1つだけ。1球を集中してカップインさせる練習がより実践的です。これはアプローチ練習場でも同じ。周囲の安全を確認したうえで、なるべくアプローチエリアの端で練習しましょう。1球を15ヤード程度打っては、ボールを取りに行き、またそこから15ヤード打って戻る。こうすることで基本の距離感が養えます」。
トイレや浴室の洗面台でも最低限のマナーが必要です。
「手を洗い、顔を洗うと、洗面台に水しぶきが飛びます。カジュアルなパブリックコースでは、洗面所が水浸しのままという光景をよく見ますが、落ち着いたメンバーコースでは、使用者が手や顔を拭いたあとのハンディタオルで洗面台をさっと一拭きします。だれが掃除するでもなく、いつもきれいに保たれている。メンバーひとりひとりが次の人を考えて行動しているからです」。
「ゴルフは紳士のスポーツ。プレーはもちろん、マナーや立ち居振る舞いでも紳士でありたいもの。ビジネス同様、お客さま目線の気遣いがあれば、それほど難しいことではありません」とTさんは話します。
いかがでしょうか。常に同伴者やその日プレーする他の方々への小さな気遣いが大事です。これは接待ゴルフだけでなく、プライベートのゴルフにも有効です。次回は、心から楽しむ接待ゴルフについてお話します。










