【閑話休題】接待ゴルフ①達人のタクティクス

2019年1月1日から新しいルールが導入されます。誰もが分かりやすく、プレイファーストにつながる改正となることが期待されています。ところが日本特有とも言える“接待ゴルフ”のマナーについては、当然ながら、ルールブックに規定はありません。

ここでは、誰も教えてくれない、暗黙の了解と認識されている接待マナーの一部を紹介したいと思います。

バブル時代に社用族と呼ばれた人々が会社の経費でゴルフを楽しんだ時代には、“接待ゴルフ”は重要なビジネスツールでした。何かとコンプライアンス(法令遵守)が指摘される現在でも、製薬会社の営業マンがお医者さんのコンペに呼ばれ、ゼネコンのコンペに中小孫請けの建設会社営業マンがコンペに呼ばれ、あるいはゴルフ好きの上司に声をかけられ社内コンペに参加するなど、ビジネスシーンにおけるゴルフの機会は少なからずあると思います。

ゴルフの接待術を身に着ければ、人生が豊かになる

「ゴルフはやるけど下手だから、できれば参加したくない」「社内コンペだけは、人間関係が面倒なので遠慮したい」というサラリーマンの方々は多いでしょう。

確かにゴルフは、ある程度、ボールが打てるようになり、同伴者のボール探しをする余裕ができるまでは、それなりの練習と時間(+資本投資)が必要です。しかし、「上手い、下手」という技術面はともかく、昼食時間も含めて約6時間もの間、大自然の中でボールの行方を追いながら、たわいもない会話を楽しむことが、どれだけその後の人間関係に大きな影響を与えるか。一度でも、仕事絡みのゴルフを経験した方ならお分かりでしょう。

<ボールを打つ技術よりも接待術を磨こう>

ゴルフは、ボールを打つ時間はごく僅かです。目標を定めてからアドレスを取り、ショットを終えるまでのワンショットが25秒とすると、25秒×100打=2500秒(41.6分)という計算になります。大半は、歩き、そして会話する時間なのです。

筆者のゴルフ仲間にもともと生命保険会社のトップセールスマンだったファイナンシャルプランナー(FP)がいます。彼曰く「接待ゴルフの達人と呼ばれるビジネスマンの多くは、間違いなく、トップセールスマンであり、仕事を効率良く進める優秀な管理職になります」。

このFP氏のゴルフの腕前は84~90のハンデ15。しかし、ラウンド時のさりげない話術。プレーのそつなさ。キャディーさんへの気遣い。林に打ち込んだ同伴者のボールをいち早く見つける“カン”の良さ。真夏のラウンド時に疲れた表情の同伴者に「塩タブレット」、スコアカードの誤記入をして困っている同伴者に「消しゴム」をさっと手渡す“小道具”の豊富さ。まさに百戦錬磨の技のデパートで、接待ゴルフハンデはツアープロ級の+ハンデです。

ゴルフの接待は将棋と同じように成功への定跡がある

「もともと営業接待でゴルフを始め、一時はシングルも目指したのですが、ボールを打つ技術はこれ以上、向上しないと諦めました。むしろ人生を豊かにするために、接待術を磨こうと。いつも同伴者目線、お客さま目線で行動するようになり、いつの間にか営業成績が良くなり、新たな人脈がさらに新たなお客さまを呼ぶようになったのです」とFP氏。

<同伴者のショットに余計な感想は無用>

もともとFP氏はラウンド中、それほど饒舌ではありません。技量の差はあれ、同伴者のショットの良し悪しに過剰な反応はしません。

『ナイスショット!』『(チーピンを打った時に)左が止まったね』『(ショートパットを外して)もったいない』など、無意識に余計な感想や解説を漏らす方がいますが、当然、NGです。一見、素晴らしいショットも、打った本人はそう思っていない場合もある。特に技量のあるお客さまに対し、ミスショットに余計な解説を入れると、間違いなく怒りを買い、その後のビジネスに悪影響となること必至です」。

同伴者が素晴らしいショットを打った時は、本人の満足そうな表情を確認した上で、ティーグラウンドから降りてきた時に、「ナイスです!」とお声がけ。ミスショットにおいては、何事もなかったようにやり過ごすのがマナー。同伴者が「こういうミスは悔しいね」などと話しかけてきた時に限り、「自分も悔しいです」「このホールは狭いですから」などと相槌を打ちましょう。これはプライベートのラウンドでも同じです。

ラウンド中や昼食時の会話は、仕事の話は極力避ける。特に業界内の不祥事やライバル会社の営業マンの悪口などはもってのほか。「初対面の接待ゴルフで人の悪口を言うような人はまず信用されません。逆にやたら『〇〇さん、素晴らしいですね』などと褒めまくり、テンション高すぎでは、落ち着いてプレーできません。プレー中の会話では、同伴者の出身地やお住まい、ゴルフ以外の趣味などをさりげなく聞き出せば、その後の営業活動にプラスになること受け合いです」とFP氏。

ゴルフ場は大人の社交場。ゴルファーである前に一社会人としての立ち居振る舞いも求められます。次回もゴルフ場での接待術を紹介します。

関連キーワード


※当サイト内の文章・画像等の内容の無断転載及び複製等を禁じます。

あわせて読みたい