クラチャンを目指そう(下)~競技ゴルフへの誘い⑨

前回のコラムでは25人のクラチャン経験者にアンケートを行い、平均的なクラチャン像を描いてみました。今回は彼らがクラチャンになるために、ゴルフを人生の中でどう捉え、どのような研鑽をしているのか―日々の練習方法やラウンド術を紹介します。

オフィシャルハンディキャップを持つ男子ゴルファー約12万人のうち、いわゆるシングルプレーヤー(9~)が約15%、そしてスクラッチプレヤー(ハンデ0~)は僅かに0.05%という調査があります。

今回、アンケート調査で回答を頂いたクラチャン経験者の中から、スクラッチプレーヤーのSさん、これからクラチャンを目指す競技志向の皆さんに一番近いハンデ5のMさん、決勝で何度も苦杯を舐め、ようやくクラチャンを獲得したYさんの3人に登場してもらいます。

なお、クラチャンのラウンド術については、上級者ならではの駆け引きが勝負を左右するマッチプレーで決勝を戦ったクラチャンたちにその秘訣を聞きました。

<ゴルフは人生の中心、忍耐と我慢>

会社の同僚から誘われて30歳でゴルフを始めた自営業者のSさん(51)。現在のオフィシャルハンデは+1.7。過去に複数の倶楽部で10回以上、クラチャンに輝き、倶楽部競技以外の公式大会で東日本や全日本での優勝を果たしています。

いくら300ヤード近く飛ばしても、1㍍を外したら勝負にならない。ボールを打つ技術だけでなく、メンタルが大きく左右する」とSさん。プライベートのラウンドでも、スタート前は仲間と群れることなく、黙々と2㍍前後のパット練習を続けます。

ドライバーの飛距離は240~260ヤード。球筋はストレートからフェード系で高低を意識的にコントロール。アイアンは低中弾道でピンを刺す。コンパクトなトップから背筋力でボールを運ぶようなスイングです。

同じ倶楽部に所属するKさんはSさんのゴルフについて、「得意とするのはパターで、72前後のラウンドでは、5~6㍍のパットを2~3回はねじ込む。肩ストロークで転がりが抜群に良いのが特徴。ショットは絶対に左に曲げないし、ショートゲームが抜群に上手い。マッチプレーに強いわけです」と絶賛します。

スクラッチレベルのクラチャンは技量、メンタルともにプロに近い

Sさんのプレーは限りなくプロに近く、Sさんが所属する倶楽部の研修会での年間平均スコアは72.42(ベスト68、ワースト77)。普段はまったく練習しないというSさんですが、年間を通じてインナーマッスルを鍛えるウエートトレーニングを行い、オフには座禅や滝行まで敢行するといいます。

「いつの間にか人生の中心になってしまった。ゴルフとは忍耐と称賛と我慢」と話すSさんのプレーはまさに常在戦場。ティーグラウンドに立った時、“只者でないオーラ”を発するという。そんな勝負師のSさんにマッチの戦い方を聞いてみました。

「相手の弱点を見つける観察力。そして、弱点を見つけたら、そこを徹底的に攻めると相手は自滅する。それは意図的な行為(つぶやきなど)ではなく、自分のプレーや雰囲気でそう感じさせるのです」。

具体的にはティーグラウンドやグリーン上での駆け引きでしょうか。フックボールが弱点の相手には、左サイドがOBのホールで、敢えて危険な左サイドに打ち出していく。ショートパットが苦手な相手には20㌢にもOKを出さず、自らは下りの微妙なショートパットを“壁ドン”で沈める。

まさにスクラッチレベルの競技ゴルファーにしかできない駆け引き。技術の裏付けがなければ、そうはできない芸当です。

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