冬のゴルフは辛いことが多いですね。ボールは飛ばないし、芝がペタペタになるのでグリーン周りが難しい。グリーンも1年で一番スピードが出る状態になります。こういう状況で修行僧のようにプレーすると、ゴルフの本質が見えてきます。
先日、お一人さまゴルフのハーフ競技で77歳の名人とご一緒する機会がありました。ドライバーの飛距離は190ヤード前後ですが、2打目の5番ウッドが正確で、30~50ヤードのアプローチが絶妙にうまい。決してピン奥に打たず、安定してカップまで上りのラインを残している。
ゴルフ場は外房地域のダイナミックな丘陵コースでしたが、レギュラーティー使用でハーフ6200ヤード前後。結果から先に書くと、名人のこの日のスコアは80回(40、40)。ダボなし8ボギーの安定したラウンドでした。
「本当に曲がらない。素晴らしいゴルフですね」と賞賛すると、名人は「ゴルフが枯れてきてから、スコアがまとまるようになりました」とほほ笑みました。

~ドライバーは190ヤード前後でもパーパットは打てる~
前半の9ホールを振り返ります。1番パー4(370ヤード)。ストレートで2打目からグリーンまで若干打ち上げ。ドライバーはコンパクトなバックスイングからリストを軟らかく使うスイングで軽いドローの190ヤード。ピンまで残り180ヤードですが、アゲンストの打ち上げで実質200ヤード。5番ウッドでグリーン手前の花道にピンまで残り30ヤードまで寄せます。名人が選択したのは9番アイアンの転がし。ピン下2㍍弱につけて2パット。ストレスのないボギー発進でした。
2番パー5(470ヤード)は打ち下ろしのため、ドライバーで約200ヤード飛ばしましたが、左足下がりの2打目をユーティリティー(恐らく24度くらい)で打ち、ピンまで100ヤードに運びました。これを9番アイアンでピン下5㍍につけ、2パットパー。名人はガツガツと入れに行かず、OKパーを狙った感じです。ちなみにパターはクラシックなL字を使用していました。極端な左体重でクローズに構え、ハンドファーストを保ったまま、ボールを押していくようなストローク。ボールの転がりがいいので、「弱いかな」と思っても、スルスルとホールに近づいていきます。まさに名人タッチ。
3番パー4(382ヤード)、4番パー3(140ヤード)を連続ボギーとしましたが、いずれもパーオンできず、グリーンサイドのバンカーから2パットボギーでおさめたもの。「グリーン周りのバンカーに入れたら確実にボギー計算」と名人のマネージメントは明確です。「脱出優先でストレスのないボギーパットを打ちたい」とのことですが、バンカーがめちゃくちゃうまい。パー3ではピン横1㍍につけたものの、思いのほか曲がるラインで残念ボギーでした。
~予想外の不幸にも一喜一憂せずに黙々とプレー~
右ドッグレッグの5番パー5(530ヤード)は、ドライバーの当たりが薄く推定160ヤード。名人はミスショットしてもきちんとフィニッシュを取って、何も言わずに歩き出します。2打目は右サイドのバンカーを越えて左サイドの林に入らないクラブ選択。ユーティリティー(30度前後か)で左ラフに運び、残り220ヤードを5番ウッドでピンまで残り45ヤードの花道へ。大きな砲台グリーンですが、ピン位置が奥だったため、4打目はどうやら9番アイアンくらいで転がしました。きっちりピン下1㍍につけて、ナイスパーセーブです。
実は同伴者から聞いて分かったのですが、このホールの2打目、ボールはディボット跡に入っていたそうです。名人はただ黙々と打つのみ。この同伴者が「あんな難しいライから素晴らしいです」と声をかけると、名人は「サンキュー」と一言。エンジョイゴルファーなら「なんだよ、穴に入っているよ」「こりゃ打てないなぁ」などと自らの不幸を宣言しながらショットに入る場面ですが、名人は無駄口をたたかず、黙々とプレーします。
6番と7番は340ヤード前後の比較的短いパー4が続きます。6、7番ともに160ヤード前後をユーティリティーでピン下4㍍前後につけるバーディーチャンスでしたが、名人は「バーディーはいらない」とばかりに、構えたらサッとストロークして、カップ手前10㌢から「お先に」のパー。そして最終9番は、レギュラーティーからも180ヤードと長いパー3。名人はドライバーをスムーズに振り抜いてグリーン横へ。ピンまで約20ヤードをパターでピン下2㍍につけ、これも無理に入れにいかずに、ストレスのない2パットボギーに納めました。
マーク金井氏は、オルタナゴルフ「素人のゴルフ」でゴルフの神髄を語っています~諦めの境地でゴルフが楽になった~
この方、50代の後半からクラブのメンバーになり、60代になってクラブ競技にはまったそうです。ありがちな話ですが、メンバーになった当初は「ドライバーからパターまでなんでも飛んでしまう」ゴルフだったそうです。その日の体調や気分でスコアの幅も90台後半から70台中盤まで振れ幅が大きく、「クラブ対抗などのチーム戦には向かないエンジョイゴルフ」(名人)だったそうです。
しかし60代後半になってガンを患い、約1年間の闘病生活を送ったあと、体重は75㌔から50㌔に減り、ドライバーの飛距離も以前の260ヤードから200ヤードに落ちたそうです。「ゴルフを再開するにあたり、考え方を変えました。マネージメントをシンプルにするため、あえてクラブ本数を14本からパターを入れて10本に。ドライバー、5番ウッド、ユーティリティー(24度、30度)、アイアンは7番からピッチングとウエッジは56度のサンドウエッジ1本のみ。「ドライバーで140ヤードから190ヤードまでカバーします。ユーティリティーが便利過ぎて、30ヤードのアプローチから170ヤードくらいまで使うので、アイアンをまったく使わない日もあります」と名人。「同じクラブを使いこなせば、それだけ精度は向上します」とも。
ゴルフでスコアを求めるなら、やはり目標に向かって打っていける技術と、アプローチ、パットの距離感です。名人は「ゴルフにミスはつきものですが、1打に集中すればなんとかボギーで上がれる」。安定して80台前半で回る名人の目標は「最悪でもストレスのないOKボギーで上がること」だそうです。
時田 弘光
~No Golf No Life~
数年前まで真剣に競技ライフを送ってきた雑草勤め人ゴルファー。
現在はおひとりさまゴルフなどで、自堕落でゆるいラウンドを楽しんでいます。
そろそろドライバーで200㍎の壁が見えてきた57歳。










