インフレスコアを生むセッティングは是か非か?- 雑草リモートゴルファーの徒然日記Round44

今年は例年になく寒い日が続いていますが、海の向こうではすでに熱い戦いが始まっています。米PGAツアーでは、松山英樹選手がソニーオープン(ハワイ州ワイアラエCC)で劇的な優勝を飾りました。最終日、23アンダーで並んだラッセル・ヘンリー(米国)をプレーオフで退けてのツアー8勝目。マスターズチャンピオンとしての風格と凄みが感じられます。

前週には同じハワイのカパルアで前年度優勝者ら38人によるセントリートーナメントオブチャンピオンズが開催。キャメロン・スミス(豪)が世界ランク1位のジョン・ラーム(スペイン)を1打差で振り切って優勝しました。スコアはツアー記録となる34アンダー。そして先週、カリフォルニアで開催された今年3戦目のアメリカンエクスプレスも優勝スコアは23アンダー…

開催コースが絶好のコンディションに恵まれたとはいえ、インフレスコアが続いています。

ソニーオープン最終日のプレーオフ。松山選手は3番ウッドで277㍎を80㌢につけ勝負を決めた

先週のアメリカンエクスプレスはアマチュアも一緒にプレーする大会でもあり、コースの難易度を上げることはできなかった。その事実を差し引いても、ラームは「まさにパッティング大会。トッププロが競う試合で、フェアウエーを外してもペナルティーがないのはいかがなものか」とラフの短いセッティングを会見でチクリ。「ティーからグリーンまでゲームのすべての側面で、プロの技術が試されるセッティングにすべき」とラームは言う。

ファンとしては、華々しいバーディー合戦は見ていて楽しい。しかし最近のトーナメントを見ていると、よほど選手がミスショットをしない限り、難しいライからのショットに苦しむ選手の姿を見ることはメジャー大会以外では、あまりないように思います。

飛行機事故で亡くなったペイン・スチュワート(米国)が勝った1999年の全米オープン。ティーショットをロングアイアンやスプーンでフェアウエーキープに努め、ラフからはショートアイアンで確実にレイアップしていました。アンヘル・カブレラ(アルゼンチン)が通算5オーバーで優勝した2007年の全米オープン(オークモント)では、各選手が深いラフと硬いグリーンに苦しみました。しかしパー70のセッティングで全選手の平均スコアが75を超えた異常なセッティングが「やり過ぎ」との批判を呼び、この時から、ツアーでは脱出が厳しい深過ぎるラフのセッティングを控えるようになったといいます。

ティーショットをラフに入れてもペナルティーにならないセッティングは、フェアウエーに打っていく技術を必要としない。300㍎以上キャリーで飛ばして、ラフからもウエッジでという最近のパワーゴルフが、「ゲームのモノトーン化」を生んでいるとゴルフチャンネルのライアン・ラフナー記者は指摘します。

今年の松山選手にはタフなコースをねじ伏せてのメジャー優勝を期待したい

とはいえアウトドアスポーツのゴルフ。コースの難易度は、天候によっても大きく変化します。試合前から雨が降れば、どんなに硬いグリーンでも軟らかくなり、バーディー合戦になる。晴天が続いて風が吹けば、グリーンは乾燥し硬くなります。

全米オープンを17、18年に連覇したブルックス・ケプカ(米国)はグリーンの硬さを重視します。「グリーンが易しいと、ショートサイド(ピンの位置がグリーン端に近い方)に外しても、グリーン外からチップインも狙える。ペナルティーがないからピンを狙う。しかし全米オープンでそんなことはあり得ない…単純に飛ばして、ウエッジでピンに近づけて、パットを入れるだけ以上の、選手の精神的なタフさを必要とするセッティングが必要」。タフなコンディションを得意とするケプカならではの指摘です。

米PGAツアーでは、4大メジャーを含め38試合を様々なコースで開催します。パワーゴルフ全盛の時代とはいえ、毎週、ブライソン・デシャンボー(米国)ら飛ばし屋ばかりが優勝争いを演じるわけではありません。優勝を決めるのはスコアに直結するアイアンの精度とパッティング。ソニーオープン最終日の松山選手のゴルフは、世界一のショットメーカーだからこそできたパフォーマンスです。

一ファンの勝手な妄想ですが、今年の松山選手には、タフなセッティングに苦しみながらも我慢を重ねて再びメジャーに勝つ――昨年のマスターズ優勝を越えるドラマを演じてほしいものです。

時田 弘光

~No Golf No Life~
数年前まで真剣に競技ライフを送ってきた雑草勤め人ゴルファー。現在はおひとりさまゴルフなどで、自堕落でゆるいラウンドを楽しんでいます。飛距離に難のある56歳。

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