コロナ禍でソーシャルディスタンスという言葉が広く認知されるようになりました。感染防止、あるいは人間関係においても距離感は大事ですね。
野球やテニスをプレーしていた多くの方々は、ゴルフは止まっているボールを打つだけだから、動いているボールを打ち返す球技よりも簡単――と最初は思うようです。しかし実際はどうでしょう。一連の動きの中でボールをはね返すのと、静止したボールにエネルギーを伝えていくのは身体の使い方も違うし、アドレスの際、クラブヘッドの通り道にボールをティーアップしなければいけません。
今回の距離感は、ターゲットまでの長い距離ではなく、目の前にティーアップされたボールとの距離感です。
ゴルフを始めたばかりの頃、年配の練習場シングルに「ゴルフはアドレスに始まりアドレスに終わる」とよく言われました。この方は毎ショット、ボールの位置を変えながら、スライス、フック、高い球、低い球を打ち分ける練習をしておりました。当時ビギナーの小生はそんなに厳密に考えることなのかと思っていましたが、いざコースデビューすると、その意味がよく分かりました。
いつも練習場で長方形のマットの線を基準にアドレスしていたので、コースのティーグラウンドにはバッターボックスのような線がなく(当然ですね)、打ち出し方向に対してどうアドレスしていいか分からない。適当にティーアップして、「だいたいこのへんにヘッドを通していこう」などとアバウトにやっていましたが、毎回、七色の球筋が出る。フック、スライス、テンプラ、チョロ――なんでも出る。「これではゲームにならない」と、小生は比較的早い時期にアドレスでボールの位置をいつも一定にする重要さに気付きました。
日本ゴルフ協会(JGA)ナショナルチームの監督を務め、アマチュアとして100を超えるタイトルを持つ阪田哲男氏は、「最も難しいのはボールと体の距離感である。私自身もこれは永遠のテーマだと思っている」と、著書「ゴルフ力の鍛え方」(学研)で語っています。ちなみに阪田氏は日本アマ6勝の中部銀次郎氏の薫陶を受けたレジェンドです。
「正しい姿勢や体の向きをつくれたとしても、ボールの位置が間違っていればいいショットは望めない。とはいえ、ボールを常に同じ位置にセットすることは難しい。これはトッププレーヤーでも同じこと。自分では同じ位置にセットしているつもりでも、少しずつずれていく。だからこそ、自分なりの基準を設けておく必要がある」
で、どういう基準なのか、ここからが重要です。「アドレスに入るとき、右ヒジを軽く体につける。この体勢が私の基準である。右ヒジを体に添える体勢を基準にすることで、ボールと体の距離を一定に保つ効果がある」 基準というものはできるだけシンプルなほうがいい。さらに阪田氏は、ボールの位置は「スムーズにスイングできる範囲でなるべくボールを手元、つまり体に近い所に置きたい」と語っています。

どういうことでしょう。小生の考察では、ラウンド経験の浅い飛ばし屋(しかも野球経験者)ほど、ボールから離れてアドレスします。つまり腕力とリストの強さでボールを飛ばしていく。確かに飛びますが、曲がります。逆にある程度、飛距離が出て正確というプレーヤーほど、前傾が深くボールは身体に近いところにあります。
試してみてください。ボールに近い位置でアドレスすると、手打ち(下半身を止めたままで腕とリストの返しだけでヘッドを走らせる)ではボールを打てません。ボールが近いと窮屈に感じる分、下半身リードでしっかりスイングできるということでしょう。
再び阪田氏の言葉。「スイングはゴルファーによって千差万別。自分が最もうまく打てるボールの位置を見つけることは不可欠である。最適な位置を見つけ、身につけるためには日ごろから意識することが必要。練習場では1球ごとにボールの位置を確認して打つことをオススメしたい」。
まずは練習場でお試しあれ。
(時田 弘光)
雑草リモートゴルファーの徒然日記 ~No Golf No Life~
数年前まで仕事の傍ら競技ゴルフを追求してきたが、加齢とともに競技引退。おひとりさまゴルフやプライベートラウンドで、自堕落でゆるいゴルフライフを過ごすことになった雑草勤め人のコラム。 









