プラチナ世代の吉田優利(23)が、初のメジャータイトルを手にしました。国内女子プロツアーのメジャー初戦「ワールドレディス・サロンパスカップ」(茨城県茨城GC=6780㍎、パー72)最終日、終盤に風雨が強まる中、吉田選手は集中力を切らさず、時折、笑顔を見せながら、難コースを制しました。
2位に1打差で迎えた16番パー4。吉田選手はフェアウエーからの2打目をグリーン右サイドのガードバンカーに打ち込みました。ライは悪くなかったものの、バンカーから近いピン位置で、寄せるのは至難の業。バンカーショットは寄せきれず、約3㍍のパーパットを残しました。しかし、吉田選手は表情を変えることなく、慎重にラインを読み、いつもの間合いでストローク。ボールはカップ真ん中に吸い込まれました。
そして続く17番パー5では、約90㍎の3打目をピン横1.5㍍につけて、優勝を引き寄せるバーディー。「スコアボードを見ていましたが、気持ちはいつも通り。あのショットは完璧でした」と吉田選手。前を行く申ジエ(韓国)が1打差に迫ってきた状況にも、気持ちを高ぶらせるのではなく、冷静に状況を判断。強まる風雨にティーグラウンドや2打目以降も待ち時間が増える中で、吉田選手は変わらぬリズムでアドレスに入っていました。
優勝を意識したかについて、吉田選手はYouTubeでのファンとの質疑で「差は確認していましたが、自分がいかにいいプレーをするかに集中していました」と話しています。「プロにとってバーディーは薬だけど、それがなかなか来ないコースはメンタル的にも体力的にもきつい。自分がどういうプレーをしたいか、どう見られたいかという意識でプレーしました」。スコアを意識せず1打に集中する。もちろん、その裏付けとなる技術があってこそのメンタルです。

吉田選手の勝利は21年9月のゴルフ5レディス以来、約1年8か月ぶり。4日間通算1オーバーという優勝スコアは、1988年のツアー制度施行後、2016年日本女子プロ選手権コニカミノルタ杯(北海道・登別CC)を制した鈴木愛以来。今回のコースセッティングはラフが密集しており、雨でさらにラフは重く、多くの選手がラフからのショットに苦戦していました。
最終日は後半から気温が朝の20度から一気に13度まで下がり、風向きも前日とは真逆に。「ゴルフ力が試されていると感じた」。吉田選手は、逆風でのショットでボールを低く打ち出すのではなく、「番手を上げていつも通りのスイング」で対処したそうです。気持ちをフラットにしながら、あえてボールを操ろうとしない。それもゴルフ力。
最終ホール、ウイニングパットを沈めると、吉田選手は左手を突き上げて、ギャラリーの声援に応えました。はじけるような笑顔が印象的。今季の序盤戦は昨年活躍した若い世代に元気がなかっただけに、吉田選手にさらなる飛躍を期待します。
時田 弘光
~No Golf No Life~
数年前まで真剣に競技ライフを送ってきた雑草勤め人ゴルファー。
現在はおひとりさまゴルフなどで、自堕落でゆるいラウンドを楽しんでいます。
全盛期は7000㍎級のコースでクラチャンになったこともありますが、今はドライバーで200㍎の壁が見えてきました。