
「えくぼ」、「小さなくぼみ」を意味するゴルフボールのディンプル。コレがあるとなしでは、飛距離に倍以上の差が出るそうです。
かつて、表面がツルツルのゴルフボールを使用していた頃、繰り返し使用した傷付ボールの方が飛ぶ事に気付き、1890年にメッシュ模様のボールが流行しました。その後、ラバーボールが開発され、1901年スポルディング社から発売されたイボ付ボールなどを経て、1908年ディンプルボールが発売されたそうです。
野球のボールでは、継ぎ目がその役割をしているそうですが、一見、空気抵抗になりそうなボール表面の凹凸が、何故、飛距離を伸ばす事に役立つのでしょうか。
その答えは『空気抵抗の軽減』と『揚力の発生』にあります。

1、『空気抵抗の軽減』
まず、空気を切り裂くように飛んでいくボールを想像して下さい。
簡単に言うと、飛んで行くボールには2つの空気抵抗が働きます。
(1)空気を切り裂く際の空気抵抗
(2)切り裂かれた空気がボールの後方に作る領域がボールを引き戻そうとする空気抵抗
結論的には、ディンプルを付ける事により、(1)では空気抵抗は増えますが、(2)ではそれ以上のメリットがあるため、ディンプルが有効という事になります。

空気抵抗(=抗力)のうち、(2)で発生するものは、切り裂かれた空気がボールの後方に流れ、ボール後方に引き込まれる様な形で低圧部(=後流領域)を作り、ボールを後ろへ引き戻そうとする力を指します。
ディンプルがあることで、(層流から乱流へ変化し易く)空気の流れがボールの表面からなかなか離れなくなり(剥離点の後退)、低圧部の領域が小さくなるため、空気抵抗も減る事になります。
2、『揚力の発生』
上向きの回転(バックスピン)によって、ボールの上の空気の流れが下の流れよりも速くなると、気圧差が生まれてボールに上向きの力(揚力)が働きます。

簡単に言うと、ボールにデコボコがある事により、ボール下部の回転(進行方向に向かう回転)は空気の抵抗を受け遅くなり、ボール上部の回転(進行方向とは逆の回転)にはフォローの力が加わる事により、ボールの上下の空気の速度差が大きくなり、揚力がアップし、ボールを押し上げます。
飛行機の翼を思い浮かべ、離陸の際は翼後部を下向きにして、下部の空気に抵抗を作り上昇する事を考えると更に分かり易いと思います。
つるつるのボールなど、バックスピン量が少ない条件になるとボールがドロップして飛ばなくなる事もこの様な理由があるためです。

タイトリスト公式サイトの技術解説コーナーにも、単に「ゴルフボールは最大のリフト(揚力)と最小のドラッグ(抗力)」求める訳ではなく、そのバランスが求められると標されていました。
開発を積み重ねられているディンプルには、様々なものがありますので、次回はそんな話題を。
(つづく)










