蝉川泰果の超攻撃的メンタルに学ぼう – 雑草リモートゴルファーの徒然日記Round 79

アマチュアランク世界1位の蝉川泰果(せみかわたいが、21歳:東北福祉大4年)が、超攻撃的なゴルフでタフなセッティングの日本オープン(兵庫県、三甲ゴルフ倶楽部ジャパンC=7178ヤード、パー70)を制しました。アマとしては第1回優勝の赤星六郎さん以来95年ぶり。当時はゴルフ草創期であったことを考えれば、まさに歴史的な快挙です。

蝉川選手は先月のパナソニックオープンで史上6人目のアマ優勝を飾っており、女子プロ人気に押され気味の男子ツアー関係者には大きな希望を与える優勝ではないでしょうか。

日本ゴルフ協会が主催する日本オープンは、深いラフ、絞られたフェアウエー、固いグリーンなど難易度の高いセッティングで有名。ところが、蝉川選手は初日に64、3日目にも63をマークして、13アンダーで最終日を迎えました。2位の比嘉一貴プロに6打差でしたが、最終日は連続バーディー発進の後、“お先に”の短いパットを外すボギーと、深いラフからウエッジで2度もダルマ落としを犯してトリプルボギーをたたき、その差は4打差となりました。

日本オープン最終日という舞台でのトリプル。普通の選手なら「やっちまった」「もうだめだぁ~」などと意気消沈するところを、蝉川選手は「ギャラリーの皆さんが喜ぶ、いいプレーをしないと」と自分に発破をかけたそうです。いいメンタル。負ければ死ぬほど悔しいのは自分ですが、第三者を喜ばせたいと思うことで、気持ちの制約を少しだけほどいた感じでしょうか。

そして続く10番パ―4では、思い切りのいい見事なティーショット。もうダルマ落としのミスは完全に意識から消してしまったようです。しかし2打目をグリーン手前のガードバンカーに打ち込み、ピンまで30ヤードはあろうかというバンカーショットを、1㍍につけてパーセーブ。テレビの前の視聴者までハラハラさせる展開ながら、本人の表情はキリッとして集中力を保っていました。

その後、比嘉プロが14、15と連続バーディーを奪い、蝉川選手が17番でボギーとするとその差は2打差まで縮まりました。こうなると、最悪はバーディー、ボギーでプレーオフ。蝉川選手のドライバーは本当にすごい。タイトルがかかった最終ホールのティーショットはフェアウエーど真ん中。ところが、2打目をグリーン奥バンカーに打ち込み、バンカーショットはピンをオーバーして、カラーまで転がってしまう。ピンまで上り約5㍍のパーパット。対する比嘉選手はパーオンするものの、バーディーパットは決まらず。

ここで普通の選手なら「よし、2パットボギーで優勝だ」と考えるところでしょう。ところが蝉川選手「あれをいれたら格好いいな」と考えたそうです。本当にそう思っていたのでしょう。ボールがカップに吸い込まれる1㍍前からガッツポーズの準備体勢に入っていました。もう地元のファンは大喜びです。

優勝会見で「タイガー・ウッズになれるように頑張りたい」と宣言した蝉川選手。彗星のように現れた印象ですが、プロフィールをJGAのHPから見てみましょう。

2001年1月11日生まれの21歳。身長175㌢で体重は明かしていません。兵庫県出身で1歳の時にプラスチックのクラブでゴルフを始めます。得意クラブはドライバーで平均飛距離は300ヤード。目標とする人は、もちろんタイガー。学生としては2017年に関西ジュニアに優勝。今年の日本アマで3位に入っています。

ブレークのきっかけは、昨年末にJGA選抜のナショナルチームに入ったこと。金谷拓実や中島啓太を指導したヘッドコーチのガレス・ジョーンズ氏(豪)の教えが大きかったようです。パットのラインを読む時に、アダム・スコット(豪)がルーティーンとするエイムポイントを取り入れ、グリーンエッジから3番アイアンを短く持って転がすアプローチもジョーンズ氏から教わりました。最終日の朝も会話を交わし、ジョーンズ氏は蝉川選手の攻撃的なメンタルに驚いたそうです。また、6月に福岡県で行われた下部ツアーでの優勝で「マインドが変わった」とも話しています。

それにしても日本オープン最終日は面白かった。渋野日向子が2019年に全英女子オープンに勝った最終日に続くエキサイティングな試合でした。蝉川選手の今後の活躍に大きく期待します。

時田 弘光

~No Golf No Life~
数年前まで真剣に競技ライフを送ってきた雑草勤め人ゴルファー。現在はおひとりさまゴルフなどで、自堕落でゆるいラウンドを楽しんでいます。そろそろドライバーで200㍎の壁が見えてきた57歳。

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