80を切るマネージメント力 ~ 競技ゴルフへの誘い⑤

前回は90を切るマネージメントと練習方法を紹介しました。今回はゴルフをスポーツとして取り組むなら一度は出したい、あるいは競技を真剣に追及するなら安定して出したい70台への考え方と練習方法についてお話します。

プロやトップアマならともかく、一般アマチュアにはあまりにも壮大なテーマ。たかだか一回のコラムで語り尽くせませんが、今回は二人のシングルさんの体験談から、70台への手掛かりを紹介しましょう。

<クラブ競技でも70台は難しい>

ゴル天編集部では、ある千葉県の会員制ゴルフ場の月例競技(2018年1月~9月)Aクラス(ハンデ14まで)での70台達成者の割合を調査しました。

このゴルフ場はフルバックで6800ヤード弱(パー72)の丘陵コース。比較的、競技が盛んな倶楽部で、調査対象の9か月間に参加したシングルプレーヤー(ハンデ9まで)の割合は、全参加者の4割。そして全参加者(毎回90人前後)のうち70台で回った選手の割合は8.7%でした。コースコンディションが難しい1~3月の平均となると、4.2%に下がりました。

シングルでも競技での70台は難しい

バックティーから、しかも競技という緊張感の中で、上級者であるシングルであってもいかに70台を出すことが至難の業であるかがよく分かります。安定して70台を出せるのは、ハンデ3以下とも言えます。

この数字を念頭に、最初に登場していただくのが、このゴルフ場のメンバーでオフィシャルハンデ6.7のSさん(46歳)。ゴルフ歴7年。月に6ラウンド、週に2回のペースで練習に勤しむアスリートさんです。

「スコアはゴルフネットワークのアプリですべてのラウンドを入力しています。今年はワーストが96回。ベストは白ティーからのコンペで出した73回。10月まで60ラウンドで、70台をマークしたのは14回。だいたい5ラウンドに1回の割合です。意外に少ないと思われるかもしれませんが、ラウンドのほとんどがフルバックなので、こんなものでしょう」。

しっかり自分の実力をデータで把握するSさんは、最初にもらったオフィシャルハンデが9。ゴルフを本格的に始めて4年目のことでした。

<短い河川敷で70台慣れしよう>

「もともとゴルフ好きの同僚に誘われて河川敷に行ったのがゴルフを始めたきっかけ。最初の2年は練習場に通ってスイングを身に着け、3年目に思い切ってホームコースを購入してから、負けず嫌いの性格もあって競技にハマりました。でも70台を出すコツが分かったのは、4年目にハーフ2800ヤード程度の荒川河川敷(川口市の浮間ゴルフコース)に通い始めてからでした」。

Sさん曰く、河川敷コースにはゴルフの感性を磨くには最適の場という。

「河川敷はどちらかのサイドはOBかペナルティーなので、安全なサイドにティーショットを運ぶ技術が身につく。風の影響を受けやすいから高い球は厳禁。ドライバーは中弾道、アイアンもライン出しができるようになりました」。

早朝ゴルフが始まる4月から8月までは、毎週1回、出社前に早朝ハーフに出かけ、ボールを打つ感覚を磨きました。すると、頻繁にハーフで30台が出るようになったそうです。

「9ホールでパー35のコースですが、いい加減なショットではスコアはまとまりません。短いコースで練習するメリットは100ヤード以内の中途半端な距離をウエッジでコントロールする感性がつかめること。また、グリーンが小さい砲台なので、アプローチが得意になった。狙ったところに打てるショット力とアプローチの感覚を磨くことで、“なんとなくパー”で上がる自信がつきました。ラウンドで5800ヤードと短いコースながら76~80ぐらいでプレーできるようになると、不思議なことにホームの6800ヤードでも“なんとなくパー”を重ねることができるようになったのです」。

80切りに必要なのはアプローチの感性を磨くこと

「ネットで80を切る考え方という記事をよく見ます。3ホール単位で考えろとか、最悪でもハーフ42で回れとか…こういうマネージメントは机上の空論。大切なのはどんな状況でも1打1打に没頭できる集中力。アマチュアが毎ホール、スコアを計算していい結果が出るはずがない。ダボを打っても慌てない。バーディーが出ても喜ばない。フラットな気持ちでいることのほうが重要です」。

説得力があります。Sさんの次の目標は倶楽部代表になって関東倶楽部対抗に出場することです。

<自己流は確信なき正統派に勝る>

続いて登場するのは、白ティーからのコンペで70台を連発する68歳のOさん。コンパクトなバックスイングで、ドライバーからパターまで左足体重。中弾道のフェードボールでコースを攻めます。

「もともとボーリングを本格的にやっていて、ゴルフもスパットにボールを通すイメージでやっています。50になってから始めたので、最初から自分ができることしかしない。6500ヤード以上のコースで行われる競技には出ません。毎月ある練習場のコンペでベスグロを獲るのが最大の目標です」。

Oさんは職人肌。ドライバーは200ヤードほどしか飛びませんが、本人が「この10年はOBを打った記憶がない」と豪語するほどの正確さ。アプローチは基本的にパターの転がし。サンドウエッジはバンカー専用。プレースタイルは堅実そのものです。

「練習場でドライバーばかり250ヤードのネットに届かせようと一生懸命振っている人がいるけど、百害あって一利なし。フェードだ、ドローだと打ち分けている人もいるけど、ゴルフを難しくするだけ。いつも同じ方向にしか曲がらない持ち球を武器にすれば、ゴルフが簡単になる」。

Oさんがコースに出るのは年間50ラウンド。それ以外に練習場併設のショートコースを週に2回はプレーするそうです。スコア管理もしており、すべて白ティーからのプレーですが、平均スコアが77点台。オフィシャルハンデは4.7。

持ち球を追及すればゴルフはシンプルになる

「ゴルフを突き詰め過ぎるといろんな欲が出てくる。一番が飛距離。もっと飛ばしたいと身体を鍛えるのは否定しないが、ヘッドスピードを上げようとするより、いつも同じインパクトができるほうが大事。次の欲がスコア。プロでもないのに、ダボを打った次のホールで『絶対にバーディーを取るぞ』なんていう人がいるが、身の程を知れと言いたい」。

Oさんのゴルフ哲学は「飛ばさない、乗せない、寄せない」だそうだ。その裏付けが毎日、自宅で練習する2メートルのパッティング。

「プロもアマも関係なく、一番大事なのは穴に近いところ。飛ばなくても、乗らなくても、寄らなくても、パターが入ればパー。つまりパッティング。パターマットで毎日、まっすぐボールを転がす練習を続けるしかない」。

すでに年金生活のOさんにとって、「ないものねだりをしない」ことも重要。ゴルフに使う予算は決まっており、道具も中古ショップで5年前に購入したもの。

「上手くならない人によくあるのが物欲。ドライバーは確かに毎年、新製品が出て、メーカーはそのたびに10ヤードは飛ぶと宣伝するけど、世の中のアマチュアはこの10年で300ヤード以上飛ばせるようになっているはず。道具は身体に馴染ませるのにある程度の時間がかかる。使い込んで魂を注入すれば、自分の思いがボールに伝わるものです」。

なるほど!物欲激しい筆者には耳の痛い話でした。

次回はクラブ競技の上級者たちが集う研修会についてお話します。

前回までのコラム)
競技ゴルフは上達への近道 ~ 競技ゴルフへの誘い①
アマチュアゴルファーズ選手権に出てみよう ~ 競技ゴルフへの誘い②
メンバーになって競技を始めよう! ~ 競技ゴルフへの誘い③
90を切るマネージメントとは? ~ 競技ゴルフへの誘い④