ゴルフは人間性が出るスポーツ。接待ゴルフでプレーヤーの所作を観察すれば、その方が信頼できるビジネスパートナーになれるかが分かると言います。
これからゴルフを始める方、あるいは接待ゴルフデビューされる方には、ぜひ、お読みいただきたいと思います。
~ポケットに手を突っ込みながら、ボール探しをする~
ティーショットを林に打ち込んだ後、ポケットに手を突っ込みながらボールを探すゴルファーを見かけます。まるで「これから卵を産むよ(ボールをポケットから出すよ)」と同伴者に感じさせる所作。ボールを探す一方で、同伴者が見ていないかキョロキョロ警戒しながら、怪しい動きをしています。こういう所作を見せられると、同伴者も安心してプレーできません。

まさに「李下に冠を正さず」です。スモモの樹の下で冠を正そうとすると、実を盗んでいると疑われる。疑惑を招く行為はやめようという成句です。
あるクラブ競技で、ボールをOB方向の林に打ち込んだ同伴者が、ポケットに右手を突っ込みながらボールを探しに行き、「ありました」とフェアウエーに出した後、問題が起きました。なんとフェアウエーにボールが5つありました。マーカーだった筆者が確認すると、同伴者のマーク付きのボールを2つ発見。指摘するまでもなく、同伴者は「すみません」と平謝り。自らプレーを中断してコースを後にしました。
出来心であっても不正を犯すと、クラブライフは台無しです。「あの人はインチキするから一緒に回りたくない」とうわさはあっという間に広がります。冬のプレーは寒いので、ポケットに手を突っ込んでボールを探す方もいると思いますが、あえてクラブを両手に持って探すなど、疑惑の目で見られないよう気をつけたいものです。
~グリーン上のボールマークは正確に~
グリーンオンしたボールにマークを置く際、ボールの下にもぐり込ませるようにマークする方がいます。しかもボールが微妙に前に動く勢い。そしてボールをリプレースする際は微妙にカップに近づける。こういうマークの仕方をするゴルファーが結構、存在します。気持ちに余裕がないというか、ゴルファーの所作として美しくないですね。
さらにひどいのは、ボールをマークする際、コインを指ではじいて前進させる“銭形平次”さん。数㌢の話でなく、何十㌢もカップに近づいている。これは実話ですが、あるラウンドで銭形さんがコインをはじいた際、勢い余ってコインがカップイン。「カコーン」と耳障りな金属音がして同伴者が驚いたという笑い話もあります。
仮にマークをボールぎりぎりに置いても、正確にリプレースすれば問題はありません。いずれにしても同伴者に疑問視されるようなマークの仕方は慎みましょう。

~ボールの後ろのラフをトントン~
古い話になりますが、あるトーナメントで高名なプロがティーショットをラフに打ち込んだ後にドライバーを持って歩いて2打地点に行き、ボール後ろのラフをトントンとならしたのを、同伴者の外国人選手から指摘されたことがありました。結果的にライの改善とは判断されませんでしたが、優勝争いの最中での出来事で、大きな話題となりました。
今は冬なので深いラフはありませんが、逆目のラフをウエッジのソールで平らにしてから打ったりしませんか?「正当な理由なしにライの改善を行った」場合は2罰打となります。ただし、ボールを動かして元のライに戻した場合は、ボールを動かしたことに対する1罰打のみでプレーを続行できます。
ゴルフの精神は、あるがままに打つべし(Play the ball as it lies)。ディボット跡に入ったボールに遭遇して、「うわ~、こんなの打てないよ」と思うか、「どうやって打つべきか」を冷静に考えるかで、ゴルファーとしての質が問われます。
~ティーグラウンド上では“デベソ”にご注意~
両サイドのティーマークの外側を結んだラインから、ティーマークしたボールがすべて出ていた場合は、いわゆるデベソになります。競技でそのまま打つと2罰打で、打ち直さないでホールアウトすると、失格になります。同伴競技者から打つ前に「デベソだよ」と指摘があった場合は、善意の指摘ですから素直に受け止めましょう。ちなみにボールの一部がティーマーク外側を結んだラインの内側に入っていればセーフになります。
ちなみにティーマークの内側から後ろ2クラブまでならどこでもティーアップできます。ティーグラウンドは、必ずしも平らでなく、微妙な傾斜があります。少しでも距離を欲張ろうと、ティーマークぎりぎりにティーアップしても、微妙に左足下がりなら、ワンクラブ下がっても平らなライから打ちたいものです。なお、ティーマークを動かすと2罰打となるのでご注意ください。
飛距離で勝ったり、負けたりのライバルとプレーする場合、少しでも前へという気持ちからデベソになりがちです。日ごろから、余裕を持ってティーマークの内側にティーアップするようにしましょう。
最後に
ゴルフは審判のいないスポーツ。ボールを自由に操る技術がないアマチュアは、1ラウンドでさまざまな運、不運が訪れます。そのたびにボールを動かしたり、“卵を産んだり”しているようでは、本当のゴルフの楽しさを知ることはできません。ルールに則って救済を受ける以外は、ティーショット後のボールはホールアウトするまで、“あるがまま”にプレーするのが最善です。
時田 弘光
~No Golf No Life~
数年前まで真剣に競技ライフを送ってきた雑草勤め人ゴルファー。現在はおひとりさまゴルフなどで、自堕落でゆるいラウンドを楽しんでいます。そろそろドライバーで200㍎の壁が見えてきた57歳。