ディンプルの役割2

前回はディンプルの歴史や役割を簡単に説明させて頂きましたが、現在に至る過程には、形状、大きさ、深さ、数や配列等に関して、様々な開発が施されてきた事は言うまでもありません。

その証とも言えるボール関連の特許技術は、有効特許数だけで2,000前後もあるとされていて、ディンプルに関するもの、多層構造やコア、素材や製作工程などに関するものなど多岐に渡っています。

また、近年ではキャロウェイとタイトリストV1との特許論争が数年に渡り繰り広げられたのも記憶に新しいところですが、以前にも、ブリヂストンスポーツがタイトリストを訴えたなどの事例もある通り、関連企業の開発戦争もその歴史として刻まれてきたといっても過言ではないでしょう。

さて、ディンプル開発に着目した時、形状、大きさ、深さ、数、配列などのそれぞれの要素は、”飛び”に対して、どのように影響を与えているのでしょうか。

ディンプルの効果を「空気抵抗(抗力減少)」と「揚力」として説明しましたが、その通り、初速や打ち出し角には、ボール内部のコア素材や構造などが大きく影響をしているため、ディンプルの役割自体は、その後の弾道のコントロールにあると言えます。

現在主流のボールのディンプル数は、概ね300中盤といえ、少ないボールで300前後、多いボールでは400〜500前後、コンセプトやイメージ戦略などにより、500を超えるディンプル数を持つものも存在しています。

(例)R&Aの登録情報を見るとシェアNO1とされるタイトリストはプロV1が352個、プロV1xが328個。最近、プロ使用率をアップさせているスリクソンのZ-SRARシリーズは共に344個、ツアーステージ X01は338個、キャロウェイシリーズは322個というのが主流となっている。ちなみに写真の様に数字を書きながら数えてもみました(笑)

一般的には、ディンプルは浅い方が高い弾道となり、深い方が低い弾道になります。また、同様に大きなディンプルは低い弾道となり、小さなディンプルやディンプルの数を減らしていくと高弾道になるそうですが、これらディンプルの数や大きさ、形、そして、ディンプルの深さは、設計の中では「専有面積率」と「体積比率」として表し管理されています。

つまり、ディンプルの大きさや数、配列などを表した「専有面積率」は、「(専有面積率が)低いと高弾道、高いと低弾道」となり、ディンプルの深さ、大きさなどを表した「体積比率」は、「(体積比率)が低いと低弾道、高いと低弾道」となります。

「専有面積率」・・・低いと高弾道、高いと低弾道
「体積比率」・・・低いと低弾道、高いと低弾道

これらの要素も、ボール内部の素材や構造とのマッチングが重要となるため、それら全てのバランスをデザインする形でゴルフボールの開発は進められているという事になります。

ところで、ボールとしての性能を考えた場合、最終的には使用するプレーヤーのヘッドスピードにも関連してくる訳ですが、キャロウェイ SR シリーズでは、3種類のボール(SR1 / SR2 / SR3)をヘッドスピード帯ごとにより提案しています。ヘッドスピードの遅いゴルファーには、初速時の正面から受ける空気抵抗より、揚力を重視するSR1と、コアの作りや目視できない程度ではあるものの、ディンプル自体の深さなどを使い分けているそうです。

その他にも各社様々なコンセプトを打ち出していますが、変わったところでは、ミズノが今シーズン発売した世界最多ディンプルやディンプルの形の概念を変えたカエデディンプル(hanabiディンプル)などもあります。中には空気抵抗○○%減などの記載があるものもありますが、空気抵抗のみが重要要素でない事は前述の通りの上、仮にコア素材など同一条件下であったとして、空気抵抗○○%減がそのまま飛距離○○%アップと勘違いしがちな、数字のトリックにも気をつけたいところです。

ゴルフボールのみならず、ギアも含めた現在の開発トレンドは、「打ち出し直後から高い角度で上昇し、落ち際でひと伸びさせる」につきると思います。『飛距離=スコア』ではないと分かっていながら、ゴルファーにとって”永遠のテーマといえる飛距離”。これを求める開発戦争が立ち止まる事はないのでしょうね。

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