パットは入れようと思わない – 雑草リモートゴルファーの徒然日記㊴

2020-21男子ツアーは、谷原秀人選手が最終戦の日本シリーズJTカップを制して幕を閉じました。過去に多くのドラマを生んできた東京よみうりカントリークラブ(東京都稲城市)。傾斜のあるグリーンで季節的にも固く、そして速くなります。歴代優勝者に共通するのは、ショートゲームの巧さ。谷原選手のバック9は、8㍍前後をねじ込むパッティングが冴えていました。

谷原プロは広島県出身の43歳。東北福祉大卒ですが、アマチュア時代に大きなタイトルに恵まれませんでした。しかしプロ入り後は着実に力をつけ、積極的に海外にも挑戦し、2018年には欧州ツアーにフル参戦しています。その風貌から飛距離で攻めるイケイケタイプに見えますが、日本ツアーで12年から3年連続で平均パット1位に輝くほど、ショートゲームが巧みな選手です。

1打リードでスタートした最終日は、スタートホールでまさかの3パット。ショットもパットも冴えず、26歳の池村寛世プロに首位を譲りバック9へ。前半から我慢しながらラインの読みを修正してきた谷原プロは、13番で8㍍のフックライン、16番では同じ距離のスライスラインをねじ込んで首位を奪った。傾斜のきつい名物ホールの最終18番は、ティーショットであえてグリーンに乗せず、手前に寄せて確実にパーセーブして優勝を決めました。

パットの要諦は「入れない」こと?健全なメンタルのために、打ち過ぎないのがいい

パッティングについては、「カップ30㌢オーバーで打て」などといいますが、谷原プロの思考は違います。谷原プロのYouTubeチャンネルなどによると、常に「入ると思わない」というメンタルで打つそうです。

禅問答のようですが「入れたいなら入れようと思うな」ということでしょうか。絶対に入れようと考えると欲が出ます。しかし「どうせ入らない」と考えれば、フラットな精神状態でプレーができます。多くのアマチュアは、めったにないバーディートライを前に「絶対にショートだけはしないぞ」などといって強気のパットをして、結局、返しの50㌢も外して3パットというケースがよくあります。

しかし谷原プロのパッティングは、いつもジャストタッチ。入っても入らなくても、感情をあらわにしません。

谷原プロは、カップから30㌢の範囲にボールが止まればショートでも問題ないという思考だそうです。オーバーさせて難しいパーパットが残ると、ストレスが溜まる。これがイップスの原因になったりするものです。

オーバーさせて微妙な距離が残るとストレスが溜まる。溜まり過ぎるとイップスに

筆者が初めてメンバーになった千葉の倶楽部に、アプローチとパターを得意とする仙人のような方がいらっしゃいました。筆者が千葉に引っ越してくる前は、河川敷のコーライグリーンでばかりラウンドしていたので、カップに直線的に強く打っては3パットを繰り返していました。ある日、仙人から「どうしてそんなにカップオーバーするの」と聞かれ、「Never Up, Never Inって言いますよね。カップオーバーに打たないと入らないですよ」と反論しました。すると仙人は「今はまだ経験が足りないからいいけど、そのうち打てなくなるよ」と悲しい表情をしました。

仙人曰く。「パターは入るか入らないか。確率的には5割。だったら、毎回、宝くじを買うようなパットをしていたら、その確率はどんどん下がる。そのうち、メンタルがおかしくなるよ」。この時、筆者には仙人の言葉がよく理解できませんでした。しかし、「いつも入れよう」と考えてパット練習しているうちに、「打ち方が悪い」「クロスハンドがいい」など思考の迷路にはまり、仙人の指摘通りイップスになってしまいました。

谷原プロのようにいつもジャストタッチでパットをしていれば、バック9で難しい8㍍を放り込むご褒美がやってくるのでしょう。考えてみればグリーンは微妙な傾斜やデコボコがあり、仮に正しいストロークをして、ラインを完璧に読んでも、入らないことのほうが多い。いつも「入ったらもうけもの」くらいの気持ちでパットするのが、メンタル的にもいいのかもしれません。

時田 弘光

~No Golf No Life~
数年前まで真剣に競技ライフを送ってきた雑草勤め人ゴルファー。現在はおひとりさまゴルフなどで、自堕落でゆるいラウンドを楽しんでいます。

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