【閑話休題】新型コロナ禍で日本のゴルフはどう変わっていくのか

政府の「緊急事態宣言」発令(4月7日)を受け、対象となる7都道府県に所在するほとんどのゴルフ場やゴルフ練習場が、週末からの運営について、新型コロナウイルスの感染リスクを最小限に抑える対応を決めている。

7都府県に49コースを展開するアコーディアゴルフは、「原則スループレー」とすることを発表。同社が東京都内で運営するインドア練習場5か所は臨時休業とし、神奈川、埼玉、千葉、大阪、兵庫、福岡の練習場では、ゴルフスクールのみを順次、休校とする予定だ。全国に143コースを所有するPGMもすでにスループレー枠の増設、競技でのパーティー中止、レストランでのビュッフェの休止などを決めた。

東京五輪のゴルフ競技会場となっていた霞ヶ関カンツリー倶楽部はすでに3月31日から「当面の間の営業」を自粛。千葉県の名門、鷹之台カンツリー、我孫子ゴルフ倶楽部もクローズ。神奈川県の名門・箱根GCはHP上で「当分の間、メンバーおよびその同居家族のみの利用」を発表している。

<ゴルファーは良識ある行動が求められる>

メンバーの自主運営で知られる千葉県市原市の南総カントリークラブは、すでに3月の月例杯からプレー後の表彰式を中止。4月14日から5月6日までは、キャディー付プレーを止めて原則スループレーとし、レストランと浴場を閉鎖する。これは来場者がゴルフ場に滞在する時間を短縮し、濃厚接触を防ぐ狙いだ。

感染拡大を抑えるためにもゴルファー一人一人の自覚が求められている

筆者の周辺やSNSなどでの発言を見ていても、この時期に多く設定されている倶楽部競技の延期や中止、レストランや浴場の閉鎖が多くなっている。

手軽なエクササイズとして、ボールを打つだけの練習場も、濃厚接触リスクが高い施設として指摘された。緊急事態宣言を受け、多くの練習場が週末から営業休止や時短営業とすることを決めている。

レジャーであるゴルフが「不要不急の外出自粛」の範疇に入ることは間違いない。世界各地のプロゴルフツアーが開催自粛を続ける中、各地区ゴルフ連盟主催のアマチュア競技会も続々と中止や延期を決めている。いずれも5月~6月下旬までの大会が対象だが、感染拡大の状況によっては、夏までの競技会がすべて中止や延期になる可能性もある。

新型コロナウイルスの感染拡大は4月に入り深刻なものとなり、ほんの1か月前には「過度な自粛は経済に悪影響。できるだけゴルフ場に足を運ぼう」などと声高に叫んでいたゴルファーたち(筆者も含めて)も、「今は我慢の時。感染拡大を終息させるためにも一人一人の自覚が大事」とプレーを自粛する動きに変わってきた。ネット上でも、「ゴルファーである前に良識ある国民であるべき」との意見が多数を占めている。

<未曽有の危機が日本のゴルフスタイルを変える>

まだまだ出口の見えない感染拡大。果たして日本のゴルフはどのように変わっていくのだろうか。

2019年1月にR&Aがそれまで複雑だったルールをシンプルにする改正を行い、ゴルフは“プレーファースト”に向かっている。この1年間、グリーン上でピンを抜いてパッティングするアマチュアゴルファーの数は激減。今回の新型コロナ禍の影響で、「ピンに触れることで感染リスクが高まる」ことから、さらに「ピンは抜かないもの」という意識が定着する。“プレーファースト”とは、「同伴競技者への気遣い」から「感染リスクの軽減」という観点にシフトしつつある。

感染拡大の影響でゴルフ場運営のカジュアル化とプレーファーストが進む

これも想像の域を出ないが、近い将来、感染リスクに鑑み、バンカーレーキがなくなるかもしれない。バンカーならしはゴルファーが足で整える。足跡にボールが入った場合は、きれいな場所にリプレースできる。また、グリーン上にはピン自体がなく、数か所のホールがあり、グリーンオンした箇所から近い穴に入れる。プレー時間の短縮とスコアアップに貢献する画期的なオペレーションだ。

スループレーが定着すれば、「必ずしも美味しくない昼食に高い料金を支払う」悪しき慣習もなくなる。来場者はそれぞれ、コンビニなどで購入した軽食を携帯してプレー。従来のレストランは、ラウンドを終えたゴルファーたちが、軽食を取るだけのラウンジに衣替えする。

これまでのアウト(1番)とイン(10番)からのスタートも、ショットガン方式で、空いているホールからスタートするスタイルに変わっていくだろう。ハーフで帰るゴルファーもいれば、心ゆくまで回り続けるゴルファーもいる。ゴルフは18ホールという固定観念がなくなり、プレーフィーは1ホール単位で支払う。「午後から仕事だから、6ホールだけプレーして帰るよ」という自由なゴルフライフが楽しめるかもしれない。

未曽有の危機が既存のゴルフスタイルを変える絶好の機会になる。9ホールプレーしたら、1時間かけてランチを食し、さらにゆっくり9ホール―というスタイルは一部の社交クラブ的高級ゴルフ場を除き、過去の遺物になるかもしれない。

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4月10日現在、国内での感染者数が6,000人を越えた。東京ディズニーランドなどの大型遊園施設も休園期間の延長を発表している。医療崩壊を防ぐためにも、感染リスクを高める行動は慎むべきだ。現段階でゴルフ場に閉鎖要請は出ていないものの、ゴルフに行くなら、プレー中のマスク着用は必須。ゴルフ場と自宅の往復の際、コンビニやゴルフショップには立ち寄らない。その必要がある場合は、マスク着用を徹底する。クラブハウスで時間をつぶすことなく、プレーを終えたら、すぐに帰る。一日も早いウイルス感染の終息を祈りつつ、自覚を持って行動すべきだ。

(時田 弘光)