ゴルフは楽しむのが一番~エンジョイゴルフを極めよう①

ゴルフは楽しむもの。1打に生活をかけるトーナメントプロでもない限り、多くのアマチュアゴルファーはエンジョイゴルファーといえます。

それなのになぜか、エンジョイゴルファーという言葉の響きには消極的なものが多く、“競技ゴルファー”や“アスリートゴルファー”の対極に位置する表現ともいえます。

「自分は上手くないからエンジョイ」「ドライバーもせいぜい200㍎だし、スポーツとして考えていない」「ジュニアの頃、嫌な思いをして競技はやめた。今でもバックから70台で回るけど、自分はエンジョイゴルファー」―など、エンジョイゴルファーを自称するゴルファーには、さまざまな事情があるのも事実です。

とはいえ、彼らに共通しているのは、他人には理解できないトラウマや負い目があるにしても、いまだゴルフを続けているという事実。付き合いで無理矢理誘われたという方を除き、みなさん、ゴルフが好きでスコアがどうあれ、エンジョイしているのです。

この連載は「エンジョイゴルフを極める」と題し、競技ゴルフとは違った切り口で、いかにゴルフを楽しんでいるか、エンジョイゴルファー像を探ってみました。

エンジョイゴルファーは競技ゴルファー、アスリートゴルファーの対極なのか?

お気楽ルールで楽しいコンペ

「自分こそ典型的なエンジョイゴルファー」と言い切るのが、自称ハンデキャップ20のMさん(42)。

埼玉県在住のMさんは会員権を持たず、プレイグラウンドはもっぱらパブリックコース。河川敷コースの早朝や薄暮ハーフで腕を磨き、月に一度の仲間内のコンペをゴルフライフの中心に置いています。

「ちょうど30歳でゴルフを始めました。自治会で一緒のご近所さんにゴルフ好きの方がいて、最初は年に2回の自治会コンペに出るために練習場に通ったのがきっかけ。基本的に週末や祝日は子どもの野球やキャンプに行くので、ゴルフをするのは平日中心。どこのメンバーにもなっていないので、プレイフィーが高い土日祝日にゴルフはしません」とMさん。

IT関連企業勤務のMさんは管理職となった4年前からゴルフの回数が減り、「管理職になる前までは年間30ラウンドはしたけど、今は10回行くかどうか。もっぱらストレス解消なので、平均スコアも分からないし、非公式ハンデは見栄も含めて20くらい。つまり全部ボギーで、2ホールはダボでもOKというストレスフリーなゴルフです」と笑う。

「ありがちですが、“お気楽会”というコンペを練習場やショートコースで知り合った仲間たちで月に1度、平日に千葉、茨城、埼玉のコースで開催しています。登録会員数は約40人で、毎回6組は集まります。4月から9月まではワンハンして、スコアの良かったハーフを組み合わせてラウンドスコアとします」。

このコンペでは、グリーン上のみ完全ホールアウトですが、その他は“お気楽”ルールを適用しています。ティーショットからOBの場合、OBとなった場所から2クラブの位置にドロップして、1打罰でプレイを続行。ディボット跡、深いラフや木の裏にボールが行ってしまった場合、「運が悪かった」として無罰で打ちやすい場所にリプレースしてプレイ。バンカーも目玉の場合、無罰でバンカー内にリプレースして続行…

まさに競技ゴルフとは対極のお気楽ルール。Mさん曰く、「月イチのゴルフでストレスを抱えて帰るのでは面白くない。こういうゴルフがあってもいい。しかもこのお気楽ルールはスムーズなプレイにつながっているのです」。

インチキを指摘され競技を止めたエンジョイゴルファー

ゴルフの原則は「あるがままに打つ(Play the ball as it lies)」。ある意味、お気楽ルールはこうした原則から逸脱しているようにも思えますが…

「おっしゃる通りです。いろいろ救済ルールを作ると面倒なことになるのも事実です。しかし、うちの会員は何年やっても上手くならない純粋にゴルフが下手な人や、元競技ゴルファーでインチキを指摘されて競技に戻れない方々も参加しているので、ある程度、緩いほうがいいのです」。

人生と同じく複雑な事情はあれ、ゴルフは楽しむのが一番

「その方はクラブ選手権の決勝のあるホールで、相手の目を盗んで深いラフに沈んだボールを蹴ってボールを浮かせたところを、キャディーさんに目撃され、後日、競技委員会で問題になったそうです。実はこの方、以前からこういうクセがあって、タイトルを失っただけでなく、クラブを退会することになり、ゴルフを止めることになりました。つらいですよね。この方とは練習場で知り合いになったのですが、素晴らしいスイングでプロのようなボールを打つので、ぜひ、コンペに参加してくださいと頼みました。最初は当然のように断られましたが、コンペの趣旨を説明すると、自らの不正を告白して参加してくれることになりました」。

この元競技ゴルファーさんに直接お話を聞くことはできませんでしたが、お気楽コンペに出場することで、今は心からゴルフを楽しんでいるという。自らの過去を仲間たちに告白することで、この会では立派なゴルファーとして尊敬される存在となっているそうです。

Mさんは「人生と同じで人には言えない事情はあれ、ゴルフは楽しむのが一番ですね」としみじみ。その一方で「もちろん、後続のプレイヤーに迷惑をかけないよう、配慮に心がけています」と付け加えました。

エンジョイゴルフとはどういうゴルフなのでしょうか?直訳すればゴルフを楽しむこと。1打を争う競技にはない本当の楽しさを求め、多くのゴルファーが練習場やコースに通う。その時間がない雑草ゴルファーたちは、通勤途中でスイング動画や海外のトーナメント中継に熱中し、月イチのラウンドに想いを馳せる。次回以降もいろいろなエンジョイの形を紹介していきます。

(文・時田弘光)