ツアーの長尺規制で考える長尺の良し悪し – 雑草リモートゴルファーの徒然日記㊲

ゴルフの総本山・R&A とUSGA(全米ゴルフ協会)がクラブの長さを46インチ以下(現行ルールでは48インチまで可能)とするルールを発表しました。2022年1月から施行されますが、これはプロツアーやエリートアマチュアの大会にローカルルールとして採用できるというもの。ツアーでにわかに話題になった長尺規制ですが、長尺ドライバーのメリットとデメリットを考えてみましょう。

筆者がゴルフを始めて数年後の1998年、フォーティーンから初代・ゲロンディーが発売されました。当時としては大きい300CCのヘッドに47インチのシャフトが装着されて。当時はツアーにも出場していた江連忠プロが使用。20ヤードは飛距離が伸びるという謳い文句に飛びついて、筆者も購入しました。確かに一発の飛びは目を見張るものがありましたが、ミート率に問題があり(筆者の技術に問題あり)数ラウンド後に手放した記憶があります。

シャフトの長さを1インチ伸ばすと、ヘッドスピードが1m/s上がると言われます。ヘッドスピードが1m/s上がると、飛距離では5.5ヤード伸びる計算(ヘッドスピード×5.5=飛距離)です。机上の計算では2インチ伸ばして11ヤードですから、ミート率を考えるとどうなのか。2インチも長くなると、クラブのバランスも上がるので、よほど軽いヘッドでないと振りにくくなります。

加齢による飛距離不足のゴルファーにとって+10ヤードは大きい

当然、道具だけでなく、スイングもアッパーにしてキャリーを稼いでいます。長尺にする前は220ヤード程度の飛距離が最大240ヤードも飛ばせるようになりました。こうなると400ヤードのパー4も、「以前はユーティリティーやフェアウエーウッドで200ヤード近くを必死に打っていたけど、今は8番や7番アイアンで打てる。これは大きいよ」と友人は上から目線で自慢します。

もちろん、良い話ばかりではありません。毎回、安定して240ヤードを飛ばせるはずもなく、長尺を振り切る筋力がなければ、ミート率は落ちます。プチ飛ばし屋に変貌した友人は「大きく曲げてスコアを崩すことも度々。それでも飛んだほうがゴルフは楽しい」と話します。その日の体調によってはうまく振り切れずに、当てに行くスイングになると、いわゆる「当たり負け」して、逆に飛ばない現象も生まれます。

そもそもこの長尺規制、50歳のフィル・ミケルソンが47.5インチのドライバーを駆使して、今年の全米プロで史上最年長メジャー優勝を果たしたのがきっかけ。USPGAツアーでも、長尺を使用して飛距離のアドバンテージを得たのは、ミケルソン、ブライソン・デシャンボーそしてアダム・スコットら少数です。ほとんどの選手が45インチ前後で、中には44インチ以下の短尺を使用して方向性を重視している選手もいる。

ミケルソン自身も「短いクラブでよりハードに振って飛ばすのは体に負担がかかりケガのリスクを生む。アークの大きさで飛ばすスイングが否定された。せっかくのゴルフブームの中、ゴルフの統治機構はアマチュアの楽しみを奪おうとしている」と、長尺規制に否定的でした。

用具規制に走る前にコースセッティングで伸び続ける飛距離への歯止めはできる

ミケルソンは規制に従い、46インチ以内のクラブで来季を戦う意向ですが、ミケルソンの意見に同意するプロも少なくない。

あるプロは「長尺にはリスクもあり、それを操る技術を身につけるハードルもある」と規制に反対。全米オープン覇者のスコット・シンプソンは、用具規制ではなく、コースセッティングで伸び続ける飛距離への対抗策を提案しています。ゴルフ総本山は、安易な規制に頼らず、もう少し広い視野を持ってほしいものです。

筆者がゴルフを始めて27年ですが、この間だけでも、高反発規制、アイアンの溝規制、長尺パター規制と、さまざまな用具規制が行われてきました。今回の長尺規制はプロと高度なアマ競技にローカルルールとして採用とのことなので、多くのエンジョイゴルファーに影響はありません。用具によってプロの飛距離を抑えたいのであれば、プロ競技だけはクラブ規制ではなく、昔の糸巻きボールや初速を抑えた飛ばないボールを導入すればすべて解決するのですが…。

時田 弘光

~No Golf No Life~
数年前まで真剣に競技ライフを送ってきた雑草勤め人ゴルファー。現在はおひとりさまゴルフなどで、自堕落でゆるいラウンドを楽しんでいます。

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