目標に向かって突き進む強さ – 雑草リモートゴルファーの徒然日記⑭

松山英樹選手が遂にオーガスタで念願のグリーンジャケットに袖を通しました。マスターズで日本人男子初のメジャー優勝。TBS放送席の中島常幸プロが「こういうシーンを見られるのは幸せ」と感極まって涙を流し、ゲストの東北福祉大の先輩である宮里優作プロも「すべてを出し切っての優勝は選手冥利に尽きる」と祝福しました。

2021年マスターズ最終日。日本中のゴルファーが早朝から松山選手のプレーに一喜一憂したと思います。

「強い気持ちを持つこと」「耐えること」…放送の合間に流れる野村ホールディングスのCMで松山選手が語りかけるように、まさに強い気持ちで耐えた4日間でした。

オーガスタのサンデーバックナインは選手に試練を与えます。

松山選手はハーフターンでリードを5ストロークに伸ばし、だれもが優勝を確信したと思います。しかし同伴のザンダ-・シャウフレ(米国)選手が12番から4連続バーディーで、3ホールを残してリードは2打差に。バーディー計算の15番パー3で松山選手が2打目をグリーン奥の池に打ち込んだ時には「まさか」と不安がよぎりましたが、4打目をグリーン手前に運ぶ落ち着いたマネージメントでボギーに。筆者も「よしよし、それでよし」と安堵した次第です。

我慢していると女神が微笑むのでしょうか。16番パー3でオナーのシャウフレ選手が左池に打ち込んでまさかのトリプルボギー。松山選手も左池を警戒して、グリーンの右上段にティーショットを外して3パット。シャウフレ選手は脱落しましたが、この時点でホールアウトした9アンダーのウイル・ザラトリス(米国)とは2打差となり、最終ホールまで何が起きるか分からない展開に出社を遅らせたファンも多いと思います。

松山選手は優勝後のインタビューで、「今日のキーショットは?」と聞かれ、「フェアウエーに打てた18番のティーショット」と答えました。今回の松山選手はプレーの合間に笑顔を見せ、メンタル的には余裕を持ってプレーしているように見えましたが、インタビューで「最初から緊張していた」と心情を吐露しました。

1996年のマスターズでは、グレッグ・ノーマン(豪)が2位に6打差で最終日を迎えながら78と崩れた悲劇を思い出します。同伴のニック・ファルド(英)が差を詰めていく中、ノーマンの表情から生気が薄れていくのを憶えています。一体、何が足りなかったのか。世界最強と呼ばれた選手でさえ、重圧に押しつぶされていく。

一方、松山選手は4日間通して、堂々とプレーする姿が印象的でした。数々のピンチを絶妙なアプローチと安定したパッティングで耐え凌いだ。昨年末に初めてコーチをつけたことも大きいでしょう。1打1打に集中し、ミスの連鎖がなかった。

松山選手はステップを確実に踏んでメジャータイトルにたどり着きました。3年半もの間、優勝から遠ざかっていましたが、パッティングやドライバーショットなどの課題を自ら、解決し、今回のメジャー優勝に結びつけたと思います。

メジャーリーグで大活躍したイチローさんが「壁というのは、超えられる可能性がある人にしかやってこない」と名言を残しました。松山選手はひとつ、大きな壁を乗り越えました。これからもさらに大きな壁に直面しながら、それを超えて行くことでしょう。

(時田 弘光)

雑草リモートゴルファーの徒然日記 ~No Golf No Life~
数年前まで仕事の傍ら競技ゴルフを追求してきたが、加齢とともに競技引退。おひとりさまゴルフやプライベートラウンドで、自堕落でゆるいゴルフライフを過ごすことになった雑草勤め人のコラム。

関連キーワード


※当サイト内の文章・画像等の内容の無断転載及び複製等を禁じます。

あわせて読みたい