劇的プレーオフで岩井ツインズが魅せたプロ意識 – 雑草リモートゴルファーの徒然日記Round104

まさにドラマチックなシナリオでした。大会初日から首位争いを演じてきた岩井ツインズ(20)と昨季女王の山下美夢有が通算11アンダーで並び、プレーオフに突入。岩井姉妹はパー5の2打目を“直ドラ”で果敢にグリーンを狙うなど、ギャラリーを大いに沸かせました。

国内女子ツアーのRKB×三井松島レディス最終日(福岡県・福岡CC和白コース=6299㍎、パー72)は、首位と4打差でスタートした岩井千怜(20)が7アンダーで回り、通算11アンダーの単独首位でホールアウト。首位スタートの姉・明愛と、山下も11アンダーでフィニッシュし、3人によるプレーオフに。姉妹でのプレーオフはツアー史上初。

最終ホール(495㍎、パー5)で行われたプレーオフ1ホール目は3人ともパー。そしてプレーオフ2ホール目、岩井姉妹のティーショットは、2人ともピンまで約235㍎のフェアウエー右サイドに着弾。最初に姉がドライバーを握ってグリーンを狙うと、続く妹も「スプーンを考えていたが、姉がドライバーを持ったのでそれもありだな」と“直ドラ”を選択。千怜がドライバーで素振りを始めると、ギャラリーからどよめきが起きました。

2人ともに左足上がりのライから快音を響かせた渾身のドライバーショットは、砲台グリーンの手前まで運び、アプローチ勝負になりました。

右から左に傾斜のある砲台グリーンに対し、姉は右サイドから約25㍎、妹はほぼピン下からの15㍎。姉はピン左2㍍、妹はピン下1.5㍍。まず山下が下りの4㍍を外すと、続く明愛も決めきれない。そして千怜。呼吸を整えてアドレス。いつものリズムでしっかりとストロークすると、ボールはカップに吸い込まれました。

ホッとしたような笑顔で控えめに右こぶしを上げると、グリーンサイドのギャラリーから大きな拍手が送られました。

千怜は昨年の2勝(NEC軽井沢72、CAT Ladiesの2週連続)に続くツアー3勝目。姉の明愛は4月のバンテリン杯でツアー初優勝を飾っており、姉妹による同一年でのツアー優勝も史上初となりました。この優勝によりメルセデスランキングで千怜が601.58㌽で5位に浮上。6位に明愛(590.77㌽)がつけています。

今大会は初日から明愛が7アンダー、千怜が6アンダーのワンツーでフィニッシュ。しかし姉妹同組となった2日目に千怜がスコアを落としました。パットが入らず、苦しい展開にも、ギャラリーには笑顔を見せるプロ意識で大会を盛り上げました。そして最終日最終組、首位スタートの申ジエがスコアを落とす重苦しい雰囲気の中、明愛は最終ホールの“直ドラ”でバーディーを奪い、プレーオフに残りました。

プレーオフでの優勝争いを「夢」として思い描いていた岩井ツインズ。今大会一番の見せ場となった“直ドラ”について、千怜は優勝会見で「ここまできたら、ファンの皆さんに楽しんでもらおうと思いました」と話しています。これぞプロ、これぞファンサービス。切れのいいショットと安定感溢れるショートゲームを武器に、今後も幾度となく2人の優勝争いが展開されるはずです。

時田 弘光

~No Golf No Life~
数年前まで真剣に競技ライフを送ってきた雑草勤め人ゴルファー。
現在はおひとりさまゴルフなどで、自堕落でゆるいラウンドを楽しんでいます。
全盛期は7000㍎級のコースでクラチャンになったこともありますが、今はドライバーで200㍎の壁が見えてきました。

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