チームLIVが“存在感”を示したマスターズ – 雑草リモートゴルファーの徒然日記Round100

 今季メジャー初戦のマスターズは、PGAツアーで序盤から絶好調のジョン・ラーム(スペイン)が安定感抜群のプレーで初のグリーンジャケットに袖を通しました(4日間通算12アンダー)。しかし、ラームよりも存在感を示したのが、LIVゴルファーたち。荒天に見舞われてタフなコース状況となったオーガスタで、彼らは躍動し、存在感を示しました。

8アンダーの2位タイに最終組でラームと優勝争いを演じたブルックス・ケプカ(米)と、オーガスタを3度制したフィル・ミケルソン(米)。7アンダーの4位タイに、2016年にグリーンジャケットを手にしたパトリック・リード(米)が入り、上位6人のうち3人がLIV組だったのです。

今回、マスターズ委員会はLIV組を受け入れ、18人が参戦。ブライソン・デシャンボー(米)やバッバ・ワトソン(米)ら6人が予選落ちしましたが、12人がゴルフの祭典を盛り上げました。一方で皮肉にも、マスターズ優勝で生涯グランドスラムを狙うLIV批判急先鋒のローリー・マキロイ(北アイルランド)は予選落ち(72-77=+5)でした。

マスターズ初日のファーストティー。ゴルフの伝統を重視するオーガスタのパトロンたちは、記念すべき30回目のマスターズ出場となるミケルソンを沈黙で迎えました。LIVの広告塔であるミケルソンだけでなく、サウジアラビア政府が資金援助するLIVゴルファーすべてに同じような対応だったと、米メディアは伝えています。

決勝ラウンドで75と崩れたケプカは、直前のLIVの大会で優勝しており、激しい風雨に見舞われた予選ラウンドで「さすがメジャー4勝」というプレーを見せましたが、最終日に30ホールをプレーするタフな状況。TBSのテレビ解説で宮里優作プロは「LIV(アラビア語で54を意味する)では4日間プレーしないので厳しかったのでは」と分析。その一方で52歳のミケルソンは最終日に65でホールアウト。同組で回ったジョーダン・スピース(米)は「10年前のフィルと同じようなパフォーマンスだった」と脱帽しました。

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ともあれミケルソンがかなりシェイプアップしていたのには驚きました。最終日のプレーはミケルソン自身、「ただ目の前の1打に集中し、ゆるんだスイングは一度もなかった。オーガスタでのベストプレーだった」と振り返りました。オーガスタで3度優勝しているレフティーは相当の意気込みで準備をしたはずです。最終18番グリーンで下りの6㍍をねじ込むと、パトロンたちから大きな歓声が起きました。

今回のマスターズは、LIVゴルファーたちの参戦を認めたことで、大会前から「LIVに亡命した反逆者」対「伝統を守るPGA選手」との構図が喧伝されました。とはいえ多くのゴルフファンはトッププロのベストのパフォーマンスを観たいだけ。最終ホールでのギャラリーの大歓声はその証左と言えます。ミケルソンはプレー後、「世界のベストプレーヤーがここで戦ったことに意味がある」と強調しました。

現在、ミケルソンをはじめ17人のLIV選手は、PGAツアーへの出場権を剥奪されたことを巡り、独占禁止法違反でPGAを相手に法廷闘争中。LIV選手はメジャー大会には、過去の成績によって出場が可能ですが、LIVの大会が世界ランキングのポイントも付与されない状況で、“反逆者”のプレー機会は徐々に失われていきます。PGA対LIVの利権争いがファンの楽しみを奪わないことを願うのみです。

時田 弘光

~No Golf No Life~
数年前まで真剣に競技ライフを送ってきた雑草勤め人ゴルファー。
現在はおひとりさまゴルフなどで、自堕落でゆるいラウンドを楽しんでいます。
そろそろドライバーで200㍎の壁が見えてきた57歳。

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