飛距離にあった楽しみ方を! ~ エンジョイゴルフを極めよう②

高齢ゴルファーに限らず、ゴルフをしなくなる理由のひとつが“飛ばなくなる”ことではないでしょうか。「最近、飛距離が20ヤードも落ちた」「いくら頑張っても飛ばない」…だからゴルフが面白くない。

その気持ち、よく分かります。誰がなんと言おうとゴルフの醍醐味は飛距離。「飛ばなくなっても、アプローチとパターでスコアを作ればいいじゃない」なんて前向きになるにも限界があります。

そう、この連載の主旨はエンジョイゴルフです。飛ばなくなってもトレーニングして若い頃の飛距離を取り戻そう、なんて無茶なことは言いません。無理なストレッチや筋力トレーニングで身体を痛めては、何の意味もありません。

自分の飛距離にあった楽しみ方を模索しましょう。

ドライバーの次がウエッジなら、アマチュアでもかなりの確率でパーオンできる

<楽しむなら一般アマチュアは白ティーで十分>

USGAとPGAは2011年から、Tee it forward(前方のティーからプレーしよう)を推奨しており、ゴルファーの飛距離とコースヤーデージの興味深いデータを示しています。

それによると、平均的飛距離(約225ヤード)のアマチュアが6,700ヤードのコースでプレイすることは、300ヤードを飛ばすPGAツアーの選手が8,100ヤードのコースをプレイするのと同じ難易度と分析しているのです。

6,700ヤードは、日本のすべてのゴルフ場の平均ヤーデージと言われる数字です。多くの平均的飛距離のアマチュアがバックティーに挑戦するクラブ競技で四苦八苦しているのは、距離というハザードがあまりにも大きいからでしょう。

USGAは、ドライバー飛距離にあった推奨コースヤーデージを設定しています。それによると、ドライバーの飛距離が275ヤードのゴルファーは、6,700~6,900ヤードのコース。以下、250=6,200~6,400、225=5,800~6,000、200=5,200~5,400、175=4,400~4,600となっています。

この設定に準拠すると、多くの一般男性が目標とする250ヤードをクリアしてようやく、6,700ヤードのコースの白ティー(約6300ヤード)からストレスなくプレイできる。さらに平均的一般男性(飛距離225ヤード)の場合、白ティーかあるいは赤ティーで回るのが理想的ということになります。

一般男性よりも飛距離の出る女子プロ(平均240ヤード)のトーナメントは、6,500~6,700ヤードのコースで開催されます。最終日にはプレイングヤーデージを前日よりも短く設定するため、優勝争いがバーディー合戦となるようです。

飛距離も正確性もあるプロに比べ、多くのアマチュアは実際よりも難易度の高い環境で修行僧のような苦行を強いられているとも言えます。しかしながら、プレイするコースの距離が短ければ、良いスコアにつながるのも事実です。

<短いコースで自信を取り戻そう>

キャディーさんやゴルフ場スタッフのおもてなし度の高さで有名な千葉夷隅ゴルフクラブでは、昨年9月からレディースティーよりも短いグリーンティーを設置。当初は75歳以上のシニアや初心者や女性限定での使用でしたが、利用者から評判となり、現在は技量や年齢に関係なく、使用できるそうです。

千葉夷隅GCはフルバックからは、7000ヤードを超えるチャンピオンコース。ドライバーの飛距離が250ヤードはないと、パーオンは難しいですが、好評のグリーンティーからは4594㍎。ドライバー飛距離は自称230ヤードの筆者ですが、実験的に同コースを前半は黒ティー、後半はグリーンティーでプレーしたところ、前半はボギーペースの45、後半はなんと1アンダーの35で回ることができました。

グリーンティーでは約2400ヤードになるので、パー5の距離が400ヤード前後。380ヤードのパー5で2オンして、8メートルのイーグルパットを楽々2パットのバーディーでした。アマチュアにとっては夢のような3バーディー、2ボギー。良いスコアでプレイできると満足感は高いものです。

何しろ黒ティーからのフロント9は、450ヤード前後のパー4や570ヤードのパー5があり、グリーンを狙うクラブがスプーンやユーティリティーばかりで、ボギーセーブがやっと。一方、グリーンティーからは、ドライバーの次はショートアイアンですから、パーオン率も上がります。「最近、スコアが出ない」という方は、短いセッティングでプレーして自信を取り戻すのもアリです。

同じ飛距離同士で回るゴルフはストレスがなくて楽しい

<飛距離別組み合わせのコンペで楽しく回ろう>

千葉県のある練習場に集うシニアのコンペでは、独自の飛距離ルールを導入しています。

このコンペのレギュラーメンバーはおおよそ30人で平均年齢は70歳超。“毎日が日曜日”というリタイア組なので、毎朝、練習場で顔を合わせます。

来年70歳になるKさんのコンペでは、練習場で飛距離計測器を使ってメンバーの飛距離を計測し、飛距離別にゴールドティー、レディースティー、レギュラーティー、ブルーティーに分かれてプレイします。

「実際に計測してみると、皆さん、思っているほど飛距離が出ていない現実に、がっかりする方が多いです。自称240ヤードの方が実際は210ヤードだったり、ある方は200ヤードくらい飛ぶだろうと思っていたが、実際は180ヤードでショックを受けていました。だれしも若い時に飛んでいた記憶があるので、飛ばなくなった事実を認めたくない」とKさん。

この会のメンバーの飛距離は最長で240ヤード、最短で142ヤードと100ヤードの距離差があります。そこで220ヤード以上はブルーティー、190~219ヤードはレギュラーティー、160~189ヤードはレディースティー。160ヤード以下はフォーワード(ゴールド)ティーという区分です。

「組み合わせも飛距離別です。私も長年ゴルフをしていますが、飛距離が同じ同士で回ったほうが、2打目以降も同じような状況で打っていけるので楽しいものです。例えば飛ばし屋3人に飛ばない人をいれると、よほど“飛ばないゴルフ”を確立している方でない限り、ティーショットで力が入ったり、惨めに感じることもあるでしょう」。

Kさん曰く、飛距離別組み合わせはプレイファーストにつながるといいます。「正直、プレイするティーが複数になると、プレイ時間もかかります。同伴者同士の会話もとりにくくなり、プレイのリズムも作りにくくなるからです」。

Kさんのコンペの趣旨は「ストレスなく、楽しく回ること」。コンペ方式もスコアの善し悪しではなく、スタート前に自分のスコアを宣言してパープレーの選手が優勝となる「オネスト・ジョン方式」。通常のハンデ戦だと、どうしても優劣がついてしまう。「うちの会では飛ぶ人も飛ばない人も、スコアの良い人も悪い人も、それぞれが楽しくラウンドしています。もっともゴルフの後の飲み会が一番の楽しみです」とKさん。

よく枯れたゴルフといいますが、飛距離が落ちてもまだまだゴルフは楽しめます。体裁を気にせず積極的に前のティーを使い、あるいは距離の短いコースでプレイしてみてはいかがでしょうか?これまでとは違ったゴルフの楽しみ方が見えてくるはずです。

(時田 弘光)