なんという劇的な幕切れ。女子国内ツアーは、今季の主役・西郷真央が予選落ちしても、ベテラン勢が盛り上げます。本当に観ていて楽しい。ほけんの窓口レディース最終日は15日、福岡CC和白C(6299ヤード、パー72)で行われ、28歳の渡邉彩香が通算11アンダーで並んだ高橋彩華をプレーオフ2ホール目で退け、ツアー通算5勝目を挙げました。
今季4度目の最終日最終組。開幕戦の最終日はショットが乱れて崩れましたが、この日もティーショットでOBを打つなど、綱渡りの最終日でした。
渡邉はツアー屈指の飛ばし屋。思い切りの良さが信条ですが、ある意味、諸刃の剣とも言えます。福岡CC和白Cはかなりの起伏があり、ティーショットも狙い所が絞られて、アマチュアの飛ばし屋さんには難しいコース。フェードで260㍎は飛ばす渡邉は、短いパー4(5番、305㍎)をドライバーで積極的に攻めてバーディーを奪うなど、5番までに5バーディーを奪い、一時14アンダーで楽勝モードに入りました。
/#プレーオフ 2ホール目#渡邉彩香(@watanabeayaka2) がロングパットを決めバーディー🔥
— JLPGA_official (@JLPGA_official) May 15, 2022
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しかし8番でティーショットを右にOBして高橋がジリジリと差を詰めました。すると後半はアプローチミスなどで3ボギー。肝心なところで危ういのが観ていてハラハラするところですが、ボギーの後にバーディーを奪うバウンスバックの繰り返し。最終18番も、前組の高橋がバーディーフィニッシュすると、渡邉はドライバー右→ラフからの2打目ロープ外の左ラフと、綱渡りしながら、打ち上げの3打目をなんとか6㍍につけてパーセーブ。柔道家の旦那さんも手に汗を握っていたことでしょう。
そしてプレーオフ2ホール目。我慢しているといいことがあります。上の段のピンまで約14㍍をしっかり打つと、ボールはカップど真ん中に吸い込まれました。まさに男前の思い切りの良いパッティング。当たり前ですが、届かないボールは入りません。
今季好調の渡邉プロは、前週の今季メジャー初戦・ワールドレディスで予選落ちをしています。メジャーセッティングだけに、フェアウエーの幅に打とうなどと考えているうちに、思い切りの良さが消えていたそうです。リフレッシュして“自分らしさ”を取り戻した福岡で、2年ぶりの優勝を手にしました。
2015年までにツアー3勝を挙げた渡邉プロですが、スイング改造の失敗などで18、19年と賞金シードから陥落。20年の開幕戦で4年半ぶりの優勝を挙げ、今季も好調を維持しています。新陳代謝の激しい女子ツアーですが、28歳のベテランが、引き続き思い切りのよいプレーでツアーを盛り上げてもらいたいものです。
時田 弘光
~No Golf No Life~
数年前まで真剣に競技ライフを送ってきた雑草勤め人ゴルファー。現在はおひとりさまゴルフなどで、自堕落でゆるいラウンドを楽しんでいます。飛距離に難のある56歳。