コロナで顕著化するゴルフ思考の格差

ゴルフフェアの中止。国内プロゴルフツアー、五輪、そしてマスターズの延期。緊急事態宣言の発令とそれに伴う行動制限。そして、その後も試合が行われないまま5月のツアーもキャンセルが相次いでいる。

完全停止とまではいかなくても、不要不急の外出を取り止めている人達が感じるのは、この状況がいつまで続くのか―という未来への不安。これまでの普通の生活のありがたみを噛みしめている方もいれば、目先の緊迫感に追われている方もいる。

これまで当たり前だったことに対するありがたみを感じ、“アフターコロナ”の世界はどう変わり、その時、我々は何をすべきなのか。今、そんな事を考えている方は、自らの足元を見直すための貴重な時間を与えられたと感じているのだろう。

一方で、そんな余裕も無く、社会のインフラ維持のため、毎日を送っている方がいる(心から感謝)。
一方で、そんな余裕も無いほど、感染リスクも鑑みずに動き回る人々がいる。
一方で、そんな余裕は無く、目先の資金繰りに追われている人もいる。
一方で、そんな余裕を愚痴と文句に費やし、ネガティブワードの検索とバッシングに充てている輩もいる。

様々なメディアでバッシングや不平不満が満ち溢れ、ギスギスした世の中になっているのが現実。しかし主体的に自らが欲する情報を引き出せる今の時代、自身がどこにフォーカスをあてるかにより、見える景色が異なってくるのは当たり前だ。

それぞれ個人の事情により、これまで以上に行動や価値観の差が生まれ、思考の違いが顕著になっているのが今の実態と言えそうです。

そんな中、マスメディアやネットニュースなどでも、バッシング的、魔女狩り的な話題とは別に、「怖いのはウイルスではなく人間」といった呼び掛けを耳にする機会が増えている。

今後、ますます増えるだろうと危惧、指摘されているのが、「自分が正しい」、「異なる考え、言動が許せない」という感情と、それに連動する行動だ。こういう時だからこそ、よりネガティブ思考が増幅しやすいのだと脳科学者や認知科学者、精神科医などが警告している。

人間が集団で生きることに長けた生き物であり、それに成功し発展してきたからこそ、個人より集団の意思決定を尊重する。日本のような災害が多い島国では、歴史的な背景から見ても、こうした行動様式が顕著に表れやすい。

このような異常事態に、自己の欲求を抑え、集団の意に協力しているからこそ、その意に従わず、好き勝手な行動を取る人間が許せないと感じる人が増えている。こういう人々は、自らのルサンチマン(憤り/怨恨/非難)をサンクション(制裁)という行動につなげる。そもそも人間の脳自体が、正義を盾とし、制裁を下すことに悦びを感じるようできていて、正義中毒者とでもいうべき人達が多く生まれているとの指摘もある。

まさに、アルコールやギャンブル依存症と同様のドーパミンの分泌に起因する中毒症状が、「正義の制裁」をくだすことに悦びを感じる正義中毒者の症状そのものだ。それが「不謹慎狩り」や「晒す」「炎上」などの行為として現れ、「差別」「偏見」を増幅させている。まさにSNS時代の特徴である。

ゴルフにおいては、いかがなものだろう。
石田純一氏の感染報告により世間一般のゴルフに対する見方が変化している。
もともと存在した「ゴルフなんか」の感情に更に拍車がかかり、すでにゴルフを自粛している人達からも、怒りの声が噴出した。
そんな中でも大型のゴルフコンペを強行するとした自粛反対を主張するホリエモンこと堀江貴文氏も話題になった。

ラウンドを続けている人達からは違った反応がある。
「必要以上に恐れるな」「1年後の結果はだれにも分らない」「何が正解だったのかも変わるだろうし分からない」「自分の身は自分で守るしかない」「すでにウイルスが蔓延している中、免疫力を維持する事こそが生き延びる術」「スウェーデンのように集団抗体を作る国策に変わるかもよ」「情報操作によりコントロールされたくない」―自粛論とは別に、その主張自体はあながち間違っているとも言い難いと感じるものもある。

いずれにしても、いま我々を取り巻く社会の“ギスギス感”に引きずり込まれることなく、新型コロナ感染拡大が収束し、これまでの日常生活を取り戻した時に心からゴルフが楽しめるように。“その日”のために、ゴルファー一人一人が今を生きるために、良識あるジャッジをしてもらえればと思う。

最後に余談だが、今、こんなタイミングだからこそ話題になっている2作の映画を紹介したい。
新型コロナで起きている今の現実に酷似していると評判の『コンテイジョン』(2011年/米)とウイルス感染症が広まった日本とそこで働く医療関係者の苦悩の日々を描いた「感染列島」(2009年/日)。

Amazon Prime、dTV、U-NEX、TSUTAYA TVなどのVOD視聴もでき、まさにパンデミックや感染症の伝達がどの様に起きるのかも理解できる作品とも言えるため、STAYHOMEか否かに関わらず、大切な人と観るのも良いと思う。

(斎藤丈)